2020年東京オリンピック開催決定
2020年の東京オリンピック開催が決定しました。
朝からテレビはオリンピック一色。
関係者各位は本当にうれしいことでしょう。
決定した瞬間、プレゼンしたフェンシングの太田さんは大粒の涙を流してたし。
思うに、想像を絶する大役だったと思います。
選手としてプレーする数倍のプレッシャーだったのではないでしょうか。
ただ、今回の東京オリンピック招致、国民の支持率はあまり高くありませんでしたね。
それはなぜか、をもう一度考えなきゃいけないと思います。
かくいう私も不支持の一人でした。だから、素直にうれしい気持ちにはならないんですね。
結局、マドリードとイスタンブールが勝手にこけて、消去法で安全パイの東京になったイメージです。
ジャーナリストの大宅さんは、イスタンブールは初のイスラム圏開催で東西の架け橋という言葉にも説得力があるし、今回は譲ってあげてもいいのでは?とおっしゃってました。
なるほど、そうかもしれませんね。
ただ、今のイスラム圏は、シリア情勢、エジプトの内政混乱とか、不安定要因が多すぎます。
オリンピックがもしテロの温床になったら、と考えると、主催者側としては厳しいでしょう。
マドリードと東京の争いかと思ってましたが、マドリードが先に負けたのは予想外でした。
マドリードが負けた理由、正直よくわかりません。
失業率が高い、国家財政が危機に瀕しているというのは、大なり小なり日本もそうなわけだし。
本命のマドリードを先に落としておき、イスタンブールとの決選投票に持ち込めば絶対勝てる、なんて戦略を持っていたのかな。
ただ、名古屋、大阪、東京と何度も誘致に失敗していたし、莫大な誘致資金をパーにしていたので、今度負けたら後がないという気持ちでも必死になられたのでしょう。
パリやローマだって、2024年の開催をもくろんでいるから、距離が近いマドリードやイスタンブールを蹴落とし、東京に入れたのかもしれない。
そんな思惑を秘めて必死にロビー活動するのって、なんだか国際政治の裏舞台で暗躍するスパイみたいで、あまりいいものではないなあ。
2020年、日本はどうなっているのでしょう。
そして、東京オリンピックは、東京や日本をどのように変えるのでしょうか。
ゼネコンは降ってわいた特需に狂喜乱舞しているに違いありません。
あと、ホテル業界ですね。
A○Aホテルとか、新しいホテルを都心にどんどん作りまくってますが、この動きにも拍車がかかるでしょう。
ミニバブルで地上げが始まり、都心がやたらとホテルだらけになるかもしれません。
電力が必要だから早く原発を稼働させろ、という方向にもなるかもしれない。
しかし、です。
これからは、インフラの老朽化の問題、限界集落の問題など、日本の高度成長がもたらした負の遺産に地道に取り組まなければいけない時期です。
あたらしくものをつくるより、今まで作ってきたものをメンテナンスしながら生き延びていく時代。
再び、かつてのいけいけの時代に戻れるわけがありません。
予算が東京に優先的に振り向けられていく。
日本がますます二極化していく。
東京が一人勝ちするだけで、地方はますます地盤沈下していくのではないでしょうか。
特に被災地の人々は、複雑な思いで今朝のニュースを聞いたのではないでしょうか。
冬季オリンピックを誘致した長野だって、景気が良かったのは開催するまでだけで、終わった後は深刻な景気低迷に陥ったし、新幹線ができたのはいいけど在来線は第三セクターになって大幅に縮小されたり。
東京にはぜひ、省エネ型のコンパクトなオリンピックを徹底的に推進してほしいと思います。
そういう流れを作ってほしい。
オリンピックというものの原点に回帰し、エンタテイメントなど余計な要素は持ち込まないでほしい。
それと、日本選手に過度のプレッシャーを与えないこと。
開催国なんだから何が何でも金メダルをとれとか、正直バカげてます。
かつての君原さんの例もあります。
オリンピックによる国威発揚なんて時代はとうの昔に終わっているわけだから、国民としても、そういう目線で選手を見るのはやめなければ。
最後に、私が東京開催不支持の理由は、やはり地震です。
こりから東海・東南海・南海地震が来るかもしれない。
富士山が噴火するかもしれない。
大津波が都心を襲うかもしれない。
それはもはや現実のリスクとなっているわけです。
各国要人も集まるオリンピックで大災害が起きれば、世界を大混乱に巻き込んでしまいます。
もはや日本だけの問題ではなくなります。
あまりにリスクが高すぎませんか?
2009年にドイツ・ミュンヘンの再保険会社が発表した自然災害リスクインデックスでは、東京は710ポイントで断トツの一位でした。二位のサンフランシスコは167点ですから、いかに飛び抜けて大きいかがわかります。しかも、これ東日本大震災前のデータですからね。どういう計算結果かわからないけど、強烈なインパクトがあります。東京の自然災害リスク、ググればさまざまなデータが出てきます。
外国メディアからは、福島第一原発の汚染水の問題が出てましたけど、それは確かに底なしの問題ではあるけれど、すでに発生している事象であるから、ある意味、対策目標が明確になっているわけです。要するに、放射能の拡散を防ぐ、その一点にすべてを集中すればよい。それに、安部ちゃんが世界に向けて「Under Control」と断言しているわけだし。
本当のリスクは、予測不能な、あるいは予測を超えた、まさに想定外の目に見えないリスクなわけです。
すなわち、これから来るであろう大地震。
政府の中央防災会議が甚大な被害想定を出しているわけだし。
外国メディアが見ていないだけかもしれないけど、この被害想定を見たら、日本でオリンピックなんてクレージーだと誰もが思うはずです。
東日本大震災で明らかなように、ハードの被害に加えて、ソフトの被害も恐ろしく甚大だし、こちらはハードのように数字では見積もることができません。
一方でこれだけの被害想定を出していながら、他方でオリンピックを誘致するという政府の感覚が、私のような凡人にはまるで理解できません。
オリンピックに莫大な予算をつぎ込むくらいなら、国土の防災にもっと手厚い予算を振り向けるべきではないでしょうか。
今はインターネットもあるし、大型テレビもあるし、家でも臨場感が味わえるから、地元の日本人だって、混雑の中わざわざ会場まで見に行かないかもしれません。
何兆円だのと皮算用してほくそえんでいる人たちがいますが、あまり過剰な経済効果を見込まないほうがよいとは思います。
大型案件で景気を浮揚しようというのは、過去の時代の話。
これからは、いけいけではなく、持続可能な地道な投資で、安定的な経済成長を積み重ねていかなきゃいけないはずなのに。
むしろ、オリンピック後を今から真剣に考えなければならないのではないでしょうか。
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