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京都の平熱-哲学者の都市案内

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テツガク(現象学)のセンセイであられる鷲田清一氏が著した、「京都に生まれ育ち、今も京都に住む、生粋の京都人から見た京都論」。バスの社内が表紙になっているのは、京都駅を出発して市内を東回りで一巡し、京都駅まで帰ってくる「京都市バス206号系統」に乗って、京都の素顔をあぶりだそうという趣旨で、生まれてからこの方、著者の人生はすべて、この路線の上に展開してきたのだとか。写真家の鈴木里策氏とペアを組み、テツガクシャらしからぬ読みやすい文体と味わい深い写真とで、観光客には見えない京都の世界へ読者を引きずり込んでいきます。
ちなみに、以前から気になっていた「天使突抜」という地名(実際にあるのです)の謎も、本書を読んでやっと解けました。

京都の人は実は歴史意識はそれほど強くなく、リアリズムよりは技巧や虚構に親しむ傾向があること。
観光都市、あるいは西陣織など伝統工芸のイメージが強いけれど、実際には計量・精密機器、ゲーム、マネキンや女性下着など独特の産業を持つ工業都市であり、マネキンや女性下着はその精密計測技術が生み出したものであること。
「けったい」で「オモロイ」ものを大事にし、街に「三奇人」がいても決して好奇の目で見たりしないこと。
京都の学校には制服がなく、卒業式は仮想行列みたいだけど、反面、小さいときから「振る舞い」を自身で工夫する習慣をつけていること
その他。。。。いろいろありますが、あとは本書を読んでください。

京都の特徴である、「あっち」の世界への孔が街のあちこちに空いているということ。
それは、それだけ人間の多様さを受け入れ、許容する懐の深さを、京都という街全体が備えているということで、だから京都人はやめられない、のでしょうか。「あっち」は「あっち」でいいじゃないか。逆に、「あっち」からみたら、「こっち」は「あっち」になるわけだし。どちらかが正統でどちらかが異端というのではなく、その対等性をどちら側の人たちも認め合っているような。

本書で頻繁に登場する、「いきの構造」を著した京都出身のテツガクシャ、九鬼周造センセイの言葉。。。「縞」というのは、どこまで行っても交わることのない平行模様で、それは惹かれつつも合同しない異性間の緊張、つまり媚態という「いき」の風情を表している。。。うーん、思わずうなってしまいます。そうなのかな、そうかもしれない。すごい説得力がありますね。これは京都、ひいては京都人についてもそのままあてはまるのかもしれません。

「そうだ、京都行こう」族の人(笑)は、そっとカバンにしのばせ、喫茶店で抹茶をいただきながら、さりげなく読んでみてはどうでしょう。お店の人が、「お客さん、けったいな本、読んではりますなあ」と言うかどうかはわかりませが。またちがった旅になることは間違いありません。

それから、本書を手にしたら、81ページの図解をぜひ見てください。何ともいいようがないおかしさ。これも京都風の「いき」なのかな、と思いつつ。

講談社
定価 1,700円

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テーマ : レトロを巡る旅
ジャンル : 旅行

岡本太郎が撮った「日本」

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若き日の岡本太郎さんが、芸術新潮の「芸術風土記」の連載で、カメラ片手に秋田から沖縄まで日本各地を旅して撮り続けたモノクロ写真集。

「ギロリッ」
それにしても凄い表紙。。。。たぶん太郎さんのアイディアでこうなったんだろうけど、出版社としてはちょっとビビりますよね。
東京・南青山にある岡本太郎記念館を訪ねたときに買い求めたもの。この記念館は、太郎さんが生前アトリエ兼住居として使っていた建物で、今もアトリエが往時のままの姿で残され、庭にはオブジェが並んでいいます。ものづくりの現場を見るのが好きな私としては、一日中いても飽きない雰囲気でした。今にも本人が現れそうで。
どうしても「太陽の塔」「芸術は爆発だー」のイメージが強すぎる太郎さんですが、実は写真家でもあったのですね。18歳でパリ留学していた当時、かのマン・レイに手ほどきを受け、無名だったロバート・キャパとも親交があったそうですから、その腕前は並大抵ではなかったことがわかります。

彼の彫刻のモチーフのひとつである「縄文」。彼の「ギロリッ」の先に映っていたもの、それは日本の最深部ともいうべき「縄文」の世界でした。重くて面倒くさいから露出計も持たないし、暗いところで距離も光量も適当に撮っていたらしいのですが、それでも現像するとピントは完璧に合っていたといいますから、天才肌、というか天才そのものだったわけですね。

ものすごい力強いというか、ファインダーに映し出された人たちの表情が印象的。カメラが捉えたさりげない横顔に生命観が躍動しています。

この素朴な力強さはいったい何?

思うに、この芸術風土記ツアーは、内なる「縄文的なるもの」を追い求める旅で、彼の目に「縄文的」に見えたものを、本能が赴くままに片っ端からフィルムに収めていったのでしょう。こうしてみると、日本の風景が、縄文時代から綿々と連なる時間の蓄積の上にあるということが実感できる気がします。渡来人が中心となって大和政権を形作るはるか以前から、日本には独特な世界観が宿っていたのかもしれませんね。


岡本敏子・山下裕二 編
毎日新聞社
定価 1,400円 

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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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