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横浜大桟橋国際客船ターミナル

写真を整理していたら、横浜大桟橋国際客船ターミナルの写真が出てきました。3年前の撮影です。もう何度か行っているのですが、行くたびに強い印象を受けます。

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東急渋谷線と相互乗り入れしている、みなとみらい線のみなとみらい駅で下り、山下公園までテクテク散歩します。本当は馬車道駅や日本大通駅のほうが近く、みなとみらい駅からはけっこう距離がありますが、港の風景を楽しめるし、近くは近代建築の宝庫で、いろいろな発見があって、遠足気分で楽しいです。寄り道ばかりで、なかなか目的地に到着しません。

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横浜港は現在は美しく修景が整備されていますが、こんな『過去の遺産』もところどころに残されています。明治維新の頃から外国との貿易や交流の玄関口となり、戦後は米軍に長いこと接収されていた横浜港。そんな歴史の生き証人みたいな感じがして、シャッターを向けました。

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さて、大桟橋です。広角で無理に全景を写すと、こんな風になってしまいます。島みたいに見えちゃうんですね。やはり、ランドマークタワーなど高層ビルの上から、空撮のイメージで撮らないと、全景はうまく撮れないようです。

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ターミナルへの入口です。鯨が大きな口をあけているようなイメージです。

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デッキに上がります。デッキはすべて、南米産のイペという木材が使用されていて、耐久性に優れているそうです。竣工当初はもう少し茶色っぽかった記憶がありますが、だいぶエイジングが進み、灰色がかっています。
カメラを持った女の子が一人佇んで、じっと遠くを見つめています。この奇妙キテレツな構造物と対峙して、一体何を想っているのでしょう。

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三次元に波打った形状で、まさに山あり谷あり。迷路を歩いているような感じです。水平面が知覚できないので、ちょっと走ったりすると、バランスを崩したりします。平衡感覚がビミョーに狂ってくるのかもしれません。一瞬、荒川修作さんの「養老反命反天地」などの作品を思い出したりします。

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芝生では、家族連れがのどかにくつろいでいます。和やかですね。
さて、内部に足を踏み入れてみましょう。

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とにかく、普通に水平・垂直という要素がほとんどありません。床も壁も手すりも、みな波打っています。そもそも、床と壁の区別がつかないのです。

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大ホールの天井です。ちょっと暗くなってしまいました。
無柱のただっ広い空間で、天井が凝っています。

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こんな感じで、とにかく複雑な納まりです。メーカーさんも職人さんも現場監督さんも、とにかく大変だったことでしょう。

この構造物は、1990年代の後半に国際コンペを行い、日本人の偉いセンセイ方をおさえて、スペインの若手建築家(当時30歳そこそこでした)が優勝して、設計を手がけました。当時、その斬新なというか、奇抜なデザインを見た人は、一体どうやって作るのだろうと疑問に思ったはずですが、日本の構造デザイナーなどとコラボレーションし、ゼネコンも技術の粋を結集して、原案に忠実につくりあげてしまいました。すごいことですね。普通にやってできる構造物ではありません。
最新のコンピュータ技術と泥臭い職人技を総合したという点では、ランドマークタワーなんぞより、よっぽどすごいのでは?と思ってしまいます。

今後何十年にわたり、横浜のシンボルとして、いつまでもここに佇んでいてほしい。世界に誇れる文化遺産(あ、まだ遺産じゃあないけど)ですから、もし戦争になっても爆撃しないで欲しい(笑)
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不思議と印象に残る広告 その4

iichikoや二階堂に限らず、お酒のCMって、いつまでも記憶に残る作品が多いですね。
わたしがとても印象に残っているのが、SUNTORY OLDのCMです。
お題の風景ネタからはちょっと脱線しますが。。。

確か1990年代の前半だったでしょうか。世の中がまだバブルの余韻をひきずっていた頃だったと思います。長塚京三さんや田中裕子さんが出ていたCMですね。
覚えておられますか?

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記憶が薄れているので、創作を交えながら再現してみました。

仕事帰りに職場のみんなとお酒を飲んだ帰り。
送別会みたいな設定だったかもしれません。
店を出て、それぞれの家路につく部長と部下のOL。

別れ際に、
「部長の背中を見るの、好きなんです」
「。。。そんな、やめろよ」
「しばらく、見てても、いいですか?」
「。。。やめろよ」

少し歩いて、ちらっと後ろを振り返る長塚部長。
はにかむような、強がるような、絶妙の表情でした。
そして、ちょこっとスキップする。
「恋は遠い日の花火ではない」

サラリーマン社会に生きる普通の人たちの秘めた恋心を素直に表現しているというか、名作中の名作だと思います。

他にも、田中裕子さん出演の作品も、いろいろありましたね。

満員のバスに乗っていて、
「お願い、下ろしてください」
「下ろしてやれよ」
とか。

あとでYouTube見ていたら、田中裕子さんのこんなバージョンもあったんですね。

夕暮の商店街で、彼女の自転車がパンクし、困っているところに、若い男性が直してあげるシーン。
パンクを直す彼に並んでしゃがみながら、
「あーあ、ついてないなあ」
「ぼくはついてますけど」
「。。。え?」
「い、いえ、なんでもないです」
「。。。」

もうひとつ、お弁当屋さんのシリーズも。
道の向こうからシャイな若者がお弁当を買いに来るシーン。
「いらっしゃい」
「いつもいつもウチの弁当ばかりじゃ、飽きちゃうでしょ」
「ええ、でも、弁当だけで来るんじゃあ、ないですから」
「。。。」

いずれも、「。。。」という言葉にできないところで、彼女が見せる表情がミソなんですね。

サントリーのホームページを訪れたら、長塚バージョンはやっぱり過去の名作CMとして、画像が出ていました。他にも過去のSUNTORYOLDの広告がたくさん出ていて、わたしは記憶にないのですが、1970年代や1980年代の広告作品。実に味わい深いです。今はこんなに「濃い」広告って、あまりないよなーという気持ちになること間違いありません。ぜひ、見に行ってみてください。

ちなみに、SUNTORY OLDの最近のCMはこんな感じです。

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若いカップルが彼女のお父さんに結婚の申込みに行くという設定です。
「やな奴なら一発ぶんなぐれたのにな。。。」

OLDの「伝統」にのっとった作風だなーと思います。
でも、わたし的には、長塚京三さんの印象が強烈で。。。


お酒のCMのきわめつけは、こちらでしょう。

お客さん、終点だよ

ハイサワーのCMです。今の若い人(?)は知らないかもしれないので、4コマ漫画風に解説を。

①風采の上がらない旦那が酔ってヘロヘロになって、妻の待つ自宅に帰宅する
②旦那は、こわい妻の前で、ダイニングのテーブルに突っ伏したまま寝込んでしまう
③呆れ果てた妻が、いたずらを思いつき、「お客さん、終点だよ」と大声で叫ぶ
④酔いつぶれた旦那が数秒後にガバッと立ち上がり、おみやげの包みをぶらさげたまま、周囲をキョロキョロしている。腹を抱えて笑っている妻。

とまあ、こんな設定でしたが、とにかく強烈に面白かったですね。

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ハイサワー博水社によると、「あのCMをまた見たい」という人が多くて、ちょうど去年の今頃、テレビでこのCMを再放映したんだそうです。残念、見過ごしていました。
また放映してくれないかな。

不思議と印象に残る広告 その3

風景画像を使った広告は多々ありますけれど、そのなかでとても美しく印象的なのもののひとつに、麦焼酎のiichikoの広告をあげることができるでしょう。当ブログをのぞきに来られた方の中にも、きっと、iichikoファンの方も多いと思います。あ、わたしは下戸なので、あくまで広告のファンですが。

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この画像は2008年12月のポスターですが、醸造元である大分県宇佐市の三和酒造さんは、海や山をはじめ、渓流、お花畑など、今まで素晴らしいポスターを出してきました。
どなたが撮影しているのか知りませんが、実に人の心に訴えかける写真だなと思いませんか。
風景写真も素晴らしいのですが、そこに添えられた、何というか、胸をくすぐるようなキャッチコピーが、ぐっとくるわけです。
わたしには飲兵衛の心の機微はよくわかりませんが、こういう広告を見せられれば、誘われるようにフラフラと足が赤提灯へ向かってしまうのかもしれません。

三和酒造さんのホームページでは、1984年以降の毎月のポスターをすべて、高画質で見ることが出来ます。これは、是非ともご覧いただきたいですね。
癒される作品ばかりです。
週替わりでスクリーンセーバーなどに使わせていただくことが出来れば、とてもgoodです。

iichikoに負けじと、同じ大分の麦焼酎の二階堂も、同じような路線を歩んできましたね。

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二階堂酒造のホームページにも、同じように、過去の広告の画像が、大切に保管するように掲載されています。二階堂の場合、iichikoに比べてより「テーマ性」みたいなものを前面に押し出していて、写真とストーリーの雰囲気で、より郷愁をそそるような構成になっています。撮影地も紹介されていて、九州に旅に行かれる際は、事前にメモしておくと、「二階堂のCM撮影地を訪ねる旅」が楽しめるかもしれません。

1987年「自然」、1988年「水の旅」、1989年「街の夢」などなど、近年は
2006年「未知の力」、2007年「文字のかけら」、2008年「消えた足跡」といった具合い。
皆さんはどれくらい覚えていますか?

iichikoが1984年から、二階堂が1987年からということで、だいたい25年近くになります。
わたしがまだ大学生になったばかりの頃です(ちょっとサバよんでるかも。。。)
この25年を振り返れば、バブル、阪神大震災、山一倒産、オウム、2000年問題、ITバブル、ワールドカップ共催、小泉劇場、そして挙句の果てに世界金融恐慌と、まあいろいろあったわけですが、世の中何があっても決して流されずに一貫しているiichikoや二階堂のコンセプトは流石だなーと思いませんか。

テレビで見るノスタルジックなCMもいいですが、静止画像で見るポスターのほうが、わたし的にはお気に入りです。この広告シリーズ、今後もずっと、スタンスを変えずに続けてほしいです。

不思議と印象に残る広告 その2

空と海の青のちがいで、僕は泣いたりする。

この広告、かなりインパクトがありましたね。
風景がネタ元の当ブログとしては、ほうっておけないテーマでもあるわけでして。

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この広告が車内を飾っていたのは、昨年の秋頃でしたが、この広告のおかげかどうかわかりませんが、東芝REGZAシリーズは非常に好調な売行だとか。

わたし的には、実際のところ、第一印象としては、かなり違和感がありました。「おいおい、やめてくれよ」みたいな。

 海の青と空の青はどう違うのだろうか。
 わたしたちは、その違いに感動して泣いたりするのか。
 この液晶テレビはそれを忠実に再現できるのか。
 どこで撮影したのか。
 なぜ福山雅治は黒いイヌを連れているのか。

などなど、たわいもない疑問が沸いてきたものです。

セリフがあまりにもキザっちいというか、これじゃ中高年のユーザーが買いづらくなっちゃわないか、とか心配したくなったくらい。
海や空の青は、確かに、美しい。感動するくらい美しい。
それは、海の美しさと空の美しさの相乗効果のなせる業でしょうね。
美しさに感動して、泣くかもしれない。
でも、青の違いそのものに泣くというわけではない。
つまり、このコピーは、かなり無理を承知で、こじつけを承知で、見る者に挑んでいる、そんな風にもとれるわけです。

わたしは広告の専門家でも何でもありませんが、一口に広告といっても、ふーんと一目見てすぐ忘れてしまえるものと、自分の中で受け止め、それに対して自分の態度を決めるよう仕向けられるものがあります。この手の広告は、典型的な後者のほうでして、好きか嫌いか、受け入れるか受け入れないかといった最低限の価値判断を、見る者に迫るような一面があるんですよね。

これとは対照的なのが、同じ海ということで、消費者金融のレイクの広告。

余裕のゆうちゃん

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この画像の右側には、グリーンカラーのレイクの実広告が入ってくるのですが、ここでは外してみました。
優ちゃんは華やかで絵になるというか、抜群のCM感度を持っていますね。
この広告でも、いつもの優ちゃんの笑顔がはじけています。人生を謳歌する余裕のゆうちゃん。これでは、「ご利用は計画的に」というサラ金のメッセージが霞んでしまうくらい。
テレビCMでは、女友達とドライブで海を見に来て、沖合いに鯨を見つけて感動する、という設定で、サラ金とはほとんど関係ないストーリーですが、1枚の広告としてみると、、背景の海といまいちミスマッチな構図なんです。
優ちゃんの笑顔がすべてという素人っぽさというか、海の上に優ちゃんの画像を置いてみたという印象がぬぐえないのですね。

 ゆうちゃんの背景が、なぜ海なのか。
 遊園地やディズニーではいけなかったのか。

海を背景に使った広告作品って、あまり多くないような気がします。不思議といえば不思議ですが、そういえば、富士山を背景にした広告も、何気にありそうでいて、あまり思いつかないです。
クリエーターさんは、「余裕」のイメージを「海」に託したのかもしれません。広告としての完成度はともかく、無意識のうちに、「安心して借りられる」みたいなイメージを発信させたかったのかな。。。

一枚の広告には、クライアントの想いとクリエーターの技巧が凝縮されています。よく練られた広告であればあるほど、それを読み解いていくのはけっこう楽しいものですね。
ま、屁理屈はともかくとして、広告は風景の一部なわけですから、ぜひ、美しく心地よい広告をつくってほしいなと思います。

東京ジャーミイ・トルコ文化センター

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モスクといえば、イスラーム世界の象徴とも言うべき存在です。
以前のプログにも書いたのですが、日本という遠く離れた異文化の地に、イスラームはどのように根を下ろしているのか、そして何より、モスクのある風景は、ここ東洋の日本でどのようにわたしたちの目に映っているのか、何となく気になっていました。
昨日からの雨もあがったので、今日、日本では最も大きいイスラーム建築である、東京ジャーミイ・トルコ文化センターに行ってきました。とてもよかったですよ。

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小田急線の代々木上原駅で下車し、井の頭通りを数分歩くと、高層マンションの間から、高い尖塔が見えてきます。実にどっしりとした構えです。自分が今、日本にいるのが一瞬疑わしくなるほど、本格的なつくりのモスクです。

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周囲の現代建築とは明らかに異質な、大理石張りのアラブ建築。外壁に施された美しい装飾をはじめ、イスラームの世界がここにある、見る者にそう予感させる外観です。期待が高まってきます。

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エントランスの左側にある装飾。白大理石の上に金属による紋様が施されています。

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エントランスです。いつも開いていて、わたしのような部外者にも「welcome!」と誘っているようです。おそるおそる敷居をまたぎます。何だか身が引き締まるような気分。

この東京ジャーミイは、ロシア革命を逃れて日本にやってきたカザフ州トルコ系タタール人が1983年に木造のモスクをこの地に建設したのが最初で、その後、老朽化に伴い2000年に建て替えられました。建替えには12億円もの費用がかかり、トルコ国民やイスラーム団体からの寄付で賄われたそうです。
オスマントルコ様式の伝統を継承しながら、一方で現代建築としてのテイストも加味され、1階には結婚式、演劇、展示会、講演などにも対応できる多目的ホール、そして2階には礼拝堂があります。トルコ人建築家ムハッレム・ヒリミ・シェナルプさんの設計によるもので、施工は鹿島が担当しました。装飾関係はトルコ本国からやってきた職人さんたちが担当したようです。
日本人にトルコやイスラームの文化に対する理解を深めてほしいとの願いから、一般の方にも公開されていて、礼拝のとき以外は、自由に内部を見学することができます。
ただし、女性はスカーフ着用が必要です(貸してくれます)。
1階ロビーには、日本語のパンフレットやCD、雑誌などが置かれていて、何か質問したければofficeの方(トルコ人)に尋ねれば英語で答えてくれます。

それでは、いよいよクライマックス、2階の礼拝堂に上がってみましょう。

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東京のモスクを訪ねて

東京ジャーミイは、神戸などのモスクと並び賞される日本を代表するモスクですが、では、その他のモスクはどうなのでしょうか。一度、東京ジャーミイを見てしまうと、残念ながら、だいぶ違った印象を持たれることになるかもしれません。
たとえば、台東区の東浅草にあるモスクです。

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大きい通りに面した普通のビルで、屋上にドームがなければ、普通の賃貸ビルとほとんど変わりません。中古のビルを購入または賃借したのでしょう。屋上には、ドームよりも小さい可愛い尖塔が建てられています。建物高さやら風圧強度やら建築基準法の関係で、そんなに高い尖塔は建てられっこないですし。でも、ドームの先端には、しっかり三日月と星のマークが付けられています。

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この建物の隣には、エスペランサ靴学院という、クラシカルで素敵な建物があります。最初、こちらが目指すモスクかと思ってしまったほどでした。

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豊島区の南大塚にもモスクがあります。

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こちらは静かな住宅街の中にひっそりと佇むように立っています。こちらは土地を仕込んで建物を礼拝堂として設計したのでしょう。エントランスもそれっぽいつくりです。それにしても、ずいぶん狭小な敷地です。昔の京町屋を思わせる、いわゆる「ウナギの寝床」という感じですね。


東京ジャーミイを見た後、こちらのモスクを見に来て、いろいろ考えるところがありました。
東京ジャーミイと最も違うのは、規模の点を除けば、東浅草も南大塚も、ここにイスラームの礼拝堂があるということを前面に押し出していない、ということです。周囲の街並みに溶け込んで、よく見なければ気がつかないくらいです。日本では、宗教施設というと何か特別な目で見られることが多く、それは東京でも同じです。地域住民と仲良くやっていくためにも、できるだけ目立たなくする配慮が働いているのでしょうか。

政治的なことはわよくわかりませんが、例の9.11以来、世界はイスラームを、ある種のバイアスがかった目で見るようになってしまいました。でも、イスラームは実に寛大な宗教のように思います。見知らぬ遠い日本の地に来て、異教の日本人たちの社会に溶け込みつつ、自分たちの宗教と伝統を守り続けているのですから。地方都市には、プレハブの仮設住宅の礼拝堂もあるそうです。宗教は心の問題ですから、礼拝堂が立派かどうかなんてことは二の次かもしれないけど、やはり祈る以上は、立派な礼拝堂で祈りたいのは当然でしょう。

陰ながら応援しています (←ちっとも締めになっていない。。。)

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不思議と印象に残る広告 その1

唐突ですが、現代社会において、広告は風景の一部であることは間違いありません。
街を歩けば、そこいら中に広告が氾濫しています。
広告は重要な風景要素なのです。

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昨年の11~12月頃、Lukiaの大きな広告がJRや東京メトロに出ていましたね。わたしは通勤で上野駅を通るのですが、地上コンコースでも地下鉄のホームでも目にして、ああ素敵な広告だなーと見ほれていたものです。菅野美穂さんの表情がとても素敵ですね。構図をはじめ、さわやかな印象が残る広告です。特に、通勤電車で朝からぐったりしているサラリーマンの多くが、この広告でつかの間の癒しを感じたのではないでしょうか。

「はたらく、笑う、恋をする」
「私が、私を、超えていく」

この小さく書かれたキャッチコピーが、実に利いています。
高級なブランド品を身につけるだけの見かけのファッションアピールではなく、新しい自分の演出という込められたメッセージが、菅野美穂さんの表情から強烈に発信されています。
わたしが女性だったら、この広告につられて、きっとLukiaを買っていたに違いありません(笑)
男性の立場でも、今度娘が成人したらお祝いに買ってあげようとか、自然にそういう気持ちにさせてしまう力があります。
これぞ、本当の広告。クライアントも大満足のはず(笑)
セカセカした味気ない通勤が、少しだけ、楽しくなりました。

もうひとつのお気に入り広告は、金麦です。壇れいさん。そう、キムタクと共演して一世を風靡した「武士の一分」で一躍、時の人になりましたね。

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なんだか、女性の好みがわかりそうなんて突込みをいれられそうですが、Lukiaとも共通しているのは、単なる商品のPRを超えて、見る者の無意識に強いメッセージを誘発する力を備えていること。
新橋駅のSL広場に、この金麦の大きな広告が出ていたとしましょう。そして、そこには「金麦冷やして待ってるからねー」というキャッチコピーが。毎晩、路地裏の飲み屋で安酒をあおり、上司の悪口なんぞを吐き出して、むなしく帰途につくサラリーマンたちは、この広告を見て、何を感じるでしょう。

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金麦冷やして待ってる。。。わけねーじゃん、とほとんどのサラリーマンは思うに違いありません。
でも、本来、家庭ってこういう「癒し」の場だったんだ、オレも新婚の頃はこんなだったんだ、これからは少しは早く帰るようにしようか、などと思うかもしれません。帰宅して、奥さんに「おい、金麦買って冷やしとけ」なんて言うようになれば、これは広告クリエーターの完全勝利です(笑)
奥さんも奥さんで、スーパーで旦那のビールを買うとき、いつも買っているスーパードライを金麦にしてみる。普段はわずらわしい旦那だけど、この日ばかりは、何となく、早く帰ってこないかな、と思ってしまうかもしれません。
ま、その分、飲み屋の売上は落ちてしまうかもしれないけれど。

広告は風景の一部だけど、単に見るだけでなくて、見るものに何らかのメッセージを発することができる。それがすごいところ、だと思うんです。
でも、これらは例外的で、ほとんどの広告は、うざいです。
テレビのCMで、へえーと感心するものなんて、最近はあまりお目にかからなくなってしまいましたね。見る側の目が肥えたのか、クリエーターのセンスがいまいちなのか、よくわからないけれど。

今回、「風景の中の広告」という新しいカテゴリーをつくってみました。
広告クリエーターの皆さん、がんばってください。

最上川の船運で栄えた山形・大石田の街並み

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最上川の水運の中心地だった大石田町。最上川の難所が控えていたため、大石田で荷物をおろし、陸路、山形県内部や仙台に向けて物資を運んでいました。現在の大石田町にはその頃の文化遺産や史跡が数多く残っています。銀山温泉に向かう途中、ちょっと寄り道して、訪ねてきました。

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大石田駅は山形新幹線の新庄行が停車するため、なかなかモダンな駅舎です。構内で「大石田てくてくガイド」という手作りのパンフレットを見つけ、探索開始です。

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本町・おひな様通りに面して、店蔵や土蔵が点在しています。残念ながら、街並みとしての連続性は失われていますが、それは日本全国共通のことで仕方ありません。むしろ、観光地でもないのに、ここまで残されていると、何となく安心したりします。

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現代風にリニューアルされた店蔵もあります。

おひな様通りという名前のいわれですが、大石田は昔、「雛の隠れ里」と言われていて、古い雛人形が大切に保存され、毎年4月2・3日には家々で一般公開されるのだそうです。新潟の村上の町屋にも、人形様祭りがありますが、そんなイメージなのでしょうね。

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旧大石田銀行本店だった建物。なかなか風格があります。翌日、帰り道に立ち寄って、青空の下で撮りました。

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最上川沿いの特殊堤壁画。船運で栄えた頃の景観を整備したもので、壁画としては世界最長の602mもあるとか。フェイクではあるけれど、なかなか雰囲気があり、土木構造物の景観として秀逸では。ライトアップもしていて、綺麗そうですね。ちなみに、芭蕉はここ大石田で、「五月雨を集めて涼し最上川」と詠んだそうです。芭蕉が真冬にここに立っていたら、どんな句を詠んだでしょうね。蛇足ながら、わたしは俳句の才能がゼロで、悲しいかな、何も言葉が浮かんできませんでした。。。

夏の大石田の街並みは、こちら 山形県のdewatabi

ところで、番外編を少し。山形駅への帰り道、国道120号線(羽州街道)で東根あたりを走っていたら、おもしろい建築に出会いました。

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丸藤さんという洋品店です。通りに面した古くからの店蔵を擬似洋風にリニューアルしています。看板建築風で、なかなか味わい深いものがありますね。しばし、見とれてしまいました。よく見ると、メルセデス風のエンブレムが見えたりします。これはもう、東根市の最重要歴史遺産といっても過言ではありません。丸藤さん、後世まで大切に残してください。

銀山温泉に行ってきました!

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1月17~18日、山形県の銀山温泉に行ってきました。
16日(金)の晩、いったん帰宅した後、新宿駅新南口からJR高速バスの山形行に乗車します。すぐに消灯、ですがほとんど眠れません。ウトウトしたと思ったら山形駅前に到着です。まだ5:00。駅前のネットカフェにもぐりこみ、2時間ほど眠った後、予約していたレンタカーを借りて出発です。
クルマは四輪駆動でスタッドレスのマツダデミオ。昔みたいにチェーンをつけなくてよくなったのは本当に助かります。雪道はあまり経験がないのですが、まあ何とかなるでしょう。

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それにしても、山形駅周辺には雪はほとんどありません。あれっていう感じです。が、郊外に向かうにつれて次第に積雪が増え始め、道の両側は除雪された雪が壁のようになっています。四輪駆動+スタッドレスの威力はすごいものでしたが、それでも滑ってヒヤッとしたことが何度かありました。地元の慣れた方でも朝夕は本当に気を使うでしょう。

銀山温泉に向かう前に、ちょっとした用があって、まず月山方面に向かうことにしました。寒河江から国道112号を西に進み、月山I.C.で月山道路に入ります。

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路面はかなり圧雪状態で、朝夕は完全にアイスバーンです。雪も舞っていて、次第にホワイトアウトっぽい状態になってきました。ハンドルを握る手に汗がにじみます。

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とりあえず寒河江まで無事に帰ってくることが出来、ほっと一息。

さて、尾花沢市街から銀山温泉に向かう細い道に入ると、次第にアップダウンが始まり、やがて到着です。手前のバス停近くの駐車場にクルマを止め、温泉街への坂道を下りていきます。
銀山温泉には2時頃に着いてしまい、早速、旅館にチェックした後、温泉もそこそこに撮影開始です。宿の若旦那と話をしていて、銀山温泉では毎年、フォトコンテストがあるから応募してみてはどうかという話を聞かされ、根が単純なわたしは、俄然やる気が出てきました。それにしても今日は一日、雪が舞っていて、手をさすりながら撮影を続けます。
夏に一度来ていますが、この時期はやはり風情がぜんぜん違います。一面の銀世界、まさに銀山温泉。夏とはまるで別世界です。

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そして、温泉に浸かった後、夜景の撮影です。ランプに明かりが灯った時分がベストという宿の若旦那のアドバイスに従い、夕食までの一時間、カメラに向かいます。私みたいに三脚を持った人が何人かいて、いいポジションを探していました。ちなみに私の機材は、本体CANON EOS30D、レンズはTS-E24mmです。絞り優先で18~20程度、露光時間は20秒程度でした。寒いのとお腹がすいたのと温泉に入りたいのとで、いい加減モード全開でしたが、多少まともに写ってくれたみたいです。
レトロなランプの配置が絶妙で、ランプを中心にすると構図が決めやすいようになってます。ランプには積もった雪が凍りつき、自然の芸術をつくり出しています。
隈研吾先生の設計による「藤屋」さんは、2年くらいたって、街並みになじんでいる感じで、何といっても夜景の美しさは格別です。それと、見る者をひきつける圧倒的な迫力の能登屋旅館。この新旧対決の醍醐味はたまりませんね。

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↑藤屋旅館です

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↑能登屋旅館です

そして、夜明けです。軒先には積もった雪が凍てつき、何本ものツララが垂れ下がっています。やがて、温泉街のバックの山の木々に朝の日差しが映え始めます。
6:00頃に起きて一風呂浴びた後、冷え込みが厳しい中で三脚を無理に操作していたら、なんと、三脚の足がボキッと折れてしまいました。いくら携帯用のヤワな三脚とはいえ、これくらいの寒さでボキッと折れてしまうとは。。。おかげで、早朝の写真は三脚なしの撮影で、あまりピンが合っていません。フォトコンテスト向けに、暁の銀山温泉の風景をじっくり撮ってみたかったんですけどねー。まあそれはそれ、また今度、来るための口実が出来ました。

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朝食の後、公衆浴場に浸かり、温泉街を散策しました。
銀山温泉の源泉は61℃くらいですが、源泉が旅館のすぐそばということもあって、とにかく湯船の温度が高く、本当の温泉という感じです。この季節は本当に温まりますね。

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今回の旅で泊まった旅館は、昭和館さんです。ちょうど温泉街の真ん中で、「藤屋」の前です。このお宿の売りは、6階にある天空風呂ですね。厳密には露天ではないのですが、大きい丸い木製の浴槽から温泉街を見渡すことが出来て、この眺めは最高です。それから、「べにばなご飯」。うっかり写真を撮らなかったのですが、紅花を入れた炊込みごはんで、黄色く炊き上がっています。特に紅花の風味がするというわけでもないのですが、紅花には浄血作用があり、特に女性にお勧めの健康食とのことでした。(宿のホームページには出てきませんが)。それから、館内には女将の手作りの小物でたくさん飾ってあって、楽しく過ごすことができました。

最後の写真の左側に写っているのは、これも隈研吾先生が設計した小さい公衆浴場です。前に来たときは新しかったのですが、木の外装は変色が見られ、傷んでいるようにも見受けられました。「藤屋」さんにしてもそうなのかもしれないけど、エイジングといえば聞こえがよいのですが、こういう風雪の厳しいところで、現代建築の美しさを維持するというのは難しいものです。

銀山温泉に行ってきます

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今度の週末、ふと思い立って、山形の銀山温泉に行ってきます。
川の両側に古い木造3階、4階の温泉旅館が軒を連ねる景観は、もう日本を代表する風物詩と言えるでしょう。わたしは数年前、夏に一度行ったことがあるのですが、次は雪深い時期に行ってみたいと思っておりました。
こんな時期に直前になって部屋が空いているわけないと思いましたが、試しにTELしてみたところ、なんと空きがあるとのお返事。お値段も貧乏サラリーマンにとってリーズナブルなお手ごろ価格だったので、二つ返事で決めてしまいました。
予約した宿の方に聞いたところ、積雪は50cmくらいで、思っていたほどの雪ではないみたいですが、今日は冷え込みが厳しく、一日中雪が降り続いてたそうです。クルマの運転には気をつけなければなりません。それと防寒対策も。
銀山温泉の泉質は本当にサイコーでした。
真冬の寒さを吹き飛ばすくらい、身体をボカボカに暖めてくれるでしょう。
また、雪にけぶる銀山温泉の写真をたくさん撮ってきたいと思います。
それから、高くてとても泊まれない「藤屋」さんですが、隈研吾先生設計の建物の写真はしっかり撮って来たいです。もし外国人の美人女将に会えればラッキーかも。。。

明日の夜、新宿から山形行き高速バスで出発です。
というわけで、行ってまいりまーす。
(写真は尾花沢市役所HPから)


7 days in Bali 田口ランディ

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何を隠そうわたしは田口ランディさんのファンで、旅や山に出かける際には必ずといっていいほど携行しています。そう、山に行ったときテントの中でシュラーフにくるまって読むときとか、温泉につかった後ほってりした身体で読むときとか、ランディ・ワールドに浸かる絶好のシチュエーションですね。

好きな理由はいろいろあると思いますが、そのひとつが、ナチュラルな自然描写でしょうか。たとえば、この作品を読んでいると、話の舞台となっているインドネシアのバリ島の風景が、何だか目に見えるような感じがしてきます。頭の中に自然なイマジネーションを起こさせ、読者をいざなってくれるわけですね。
たとえば、こんな描写が出てきます。
 
日の出が間近らしい。空が充血している。
ものすごく空気が濃い。そういえば夜明け前の一瞬、植物は大量の酸素を空気中に吐き出すのだと聞いたことがある。
………………
しだいに空は狂おしいほどのバラ色に染まっていく。
朝が訪れるって、もしかしたら受胎なんだろうか。
光は闇を孕ませて、今日という日を生むのだろうか。

こういう描写は、森の夜明けの荘厳さを目の当たりにしたことのある方なら、自然な感覚としてフィットするのではないでしょうか。
わたしは北アルプスの蝶が岳という山にここ数年は毎年登っていますが、この山は向かいの穂高から槍が岳までを一望に出来る展望台としても人気があります。そして、この蝶が岳で迎える夜明けの神々しいことと言ったら。。。とても言葉には出来ないですね。あえて言葉にしようと思えば、こういう表現がとてもぴったりです。

ランディさんには、自分が感じたことを素直に自分の言葉に変換できる不思議な能力があるのかも。いろいろな言葉を羅列した過剰な描写はなく、飾りっ気ないのだけれど、短い簡潔な表現で、強いイメージを植えつけられてしまうような気がします。

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さて、本作品は、ピアニストの女友達ミツコの足跡を追って、インドネシアのバリ島で過ごした女性の夢心地のような7日間を描いたもの。ストーリーはともかく、バリ島の濃密な自然とそこに暮らす人々の姿が丹念に描かれていて、頭の中でいろいろなイメージが湧き上がってきます。

バリでの森林浴は、さぞかし濃密なものでしょう。
いつか行きたいものです。

2002年 筑摩書房発刊

ヴェニスの商人

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ヨーロッパの文芸ないし歴史ものの映画作品は、背景となる風景の美にこだわって製作されているものが多いと思いますが、このヴェニスの商人も、その中で見逃せないもののひとつでしょう。
舞台は16世紀のヴェニス。冒頭から、貿易で栄えるヴェニスの街並みと、そこに生きる商人や女たちの生活がスクリーンいっぱいに描き出されます。その美しい街並みに見入っていると、やがて、ひとりの年老いたユダヤ人が画面に映し出されます。人々は彼をユダヤ人め、とののしって露骨な迫害を始めます。
イエス・キリストの存在を信じないユダヤ人たちは、このようにキリスト教徒に理不尽に差別されながら、ゲットーの中で高利貸しなどをして暮らしてきたのでしょう。

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ある日、若きバッサーニオは、金持ちの娘である美しいポーシャに求婚するため、親友のアントニオに借金を頼みます。アントニオはあいにく全財産を船で輸送中でしたが、親友の頼みでもあることだし、仕方なくユダヤ人のシャイロックを紹介しますが、このシャイロックこそ、映画の冒頭で人々から罵倒されていた老人その人だったのです。
シャイロックは、無利子で金を貸す代わりに、3ヶ月以内に返済できなければアントニオの肉1ポンドをもらう、という奇妙なことを言い出します。アントニオの財産をあてにしていたバッサーニオは、もしアントニオの船が難破したらどうなるかを考えもせず、その条件を受け入れてしまいます。

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赤い帽子をかぶったアル・パチーノ演じるシャイロック。その屈折した人間像を実にリアルに演じきっています。アントニオと対決する裁判のシーンは、思わず唾を飲み込むほどの緊張感がみなぎっていました。
それにしても、ユダヤ教から出発したキリスト教は世界三大宗教としての地位を確立したのに対し、ユダヤ教は21世紀の現在まで、ひとつの民族宗教に過ぎません。20世紀にイギリスの主導でイスラエルという国家が確立されるまで、自身の国を持つことも出来ず、世界に分散して独自のネットワークを作り、頑ななまでに律法を信じ、民族の団結の中で生きてきた、その優越感と屈辱感とが交差する複雑さが、この裁判のシーンを通してひしひしと伝わってきます。

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そして、パサーニオが求愛した金持ちの娘ポーシャ。大学で法律を学んでいた彼女は、ただ美しいだけではなく、実に機知に富んだ聡明な女性でした。彼女の機転が、すべてを望ましい方向へと導いていくのでした。

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さて、日本人も大好きなヴェネチアの風景。多くの名画が描かれた世界有数の美しい風景は、とにかくため息が出るくらいに芸術的。こんな街に暮らせる人たちって本当に幸せだろうと思います。最近は水位が上がり、洪水のたびに大変な思いをしているようですが、世界史的な歴史遺産ですし、何とかして今の都市を維持していきたいですね。
室内のシーンはルクセンブルクで撮影されたようですが、ヴェネツィアのシンボルの運河を行きかう船はもちろん、リアルト橋やサン・マルコ広場、さらには世界遺産のドゥカーレ宮殿でも撮影されているそうです。

アメリカ・イタリア・ルクセンブルグ合作
監督:マイケル・ラドフォード
出演:アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズ、リン・コリンズ
2004年作品


テーマ : 最近見た映画
ジャンル : 映画

薔薇の名前

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冒頭、北イタリアの修道院が画面いっぱいに映し出されます。人里離れた中世の修道院には、陰鬱で、言いようのない淀んだ空気が漂っています。
ある日、二人の修道士がこの修道院を訪れます。かつて異端審問官だったウィリアムと、まだ少年のように若い弟子のアドソ。二人を招きいれた後、修道院の門が閉まり、閂がかけられた瞬間、外部との接触は閉ざされてしまいます。

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二人は、この修道院がひた隠しにしている、ある若い修道士の謎の死を解明するためにやってきたのでした。修道士たちは、見るからに謎を秘めた、一癖も二癖もありそうな怪しげな人物ばかり。ストーリーの展開につれて、修道院が塔の奥に隠している膨大な書物に秘密が隠されていることが明らかにされていきますが、その秘密を守るために、次々と謎の怪死事件が続きます。
まるで西洋版「犬神家の一族」のようです。
実際、二本の足が樽の水面から突き出ている、なんてシーンもあったし。

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塔の奥に隠された秘密の書庫を探索する二人。
ウンベルト・エーコというかなり変わった作家の原作を忠実に映画化したせいでしょうか、かなり怪奇的な歴史ミステリーになっていて、原作は読んでいませんが、小説で読んでも映画以上に楽しめそうな感じがします。映画を見る限り、ちょっと尻切れトンボの感は否めないので、映画を見てイマジネーションをふくらましてから、原作を読んでディテールをフォローするというのはありですね。

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異端の疑いをかけられた修道士が、ローマから派遣された異端審問官(中央)の前でひざまづき、尋問を受けています。彼は有罪とされ、他の二人とともに火あぶりの刑に処されてしまいます。
異端審問や魔女狩りの嵐が吹き荒れた中世のカトリック世界の実像が、精密な歴史考証により、リアルに描かれています。カトリック信者の方が見ると、複雑な思いに駆られるかもしれません。

さて、北イタリアの修道院という設定ですが、冒頭からラストまで、陰鬱な雰囲気の修道院が舞台となっています。どうやら、撮影は実際の建物ではなく北イタリアの山中に作られた野外セットで行われていたようで、ちょっと残念。確かに、映画で見る建物はどことなく「絵画」のようで、現実感に乏しい感じです。
それと、フランス・イタリア・西ドイツ合作なのですが、なぜか英語で。。。これはちょっとなーと思いました。主演がショーン・コネリーだからかもしれないけれど、やはりイタリア語かフランス語のほうがムードが出てよかったかなと思います。
ただ、修道士の服装や髪型、修道院内部の礼拝堂や図書館、炊事室など、信仰から生活にわたるディテールが実に緻密に再現されているところは、さすがという感じでした。修道院が捨てる残飯をあさって生活している貧民の暮らしの描写も、中世という時代をリアルに描いていると思います。

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内部の礼拝堂などは、イタリアではなく、ドイツのヘッセン州エルトヴィレ・アム・ラインにあるエーバーバッハ修道院を中世風に改造して撮影したそうです。

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そして、秘密の文書が隠されていた塔。塔は外部の人間の侵入を防ぐように幾重にも迷路になっていました。まあ、そんなつくりの塔が実際にあるはずはないとは思いますが。。。


「ダヴィンチ・コード」なんかもそうでしたが、こういう歴史+宗教ネタを映画にすると、ある程度、歴史的な事実やら学説やらのエッセンスを映画の中に盛り込んでいかなくてはならないのですが、所詮、映画なんて娯楽なわけだし、多少、尻切れトンボになってしまうのはやむをえないのでしょう。この映画では、ふとしたきっかけで異端の疑いをかけられた瞬間に、理不尽な審問で火刑を宣告される運命が決まってしまうという異端審問の恐ろしさを、ミステリーという形を借りることであぶりだしたかったのかもしれませんが、頭でっかちの割に何となくおわってしまったような印象でした。


フランス・イタリア・西ドイツ合作映画。1986年製作
原作:ウンベルト・エーコ
出演:ショーン・コネリーほか
ジャン・ジャック・アノー監督作品

テーマ : 最近見た映画
ジャンル : 映画

エミリー・ブロンテ「嵐が丘」

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言わずと知れた、エミリー・ブロンテの名作です。
舞台は荒涼とした大平原が広がるイングランド・ヨークシャーの丘。「嵐が丘」と呼ばれる丘に住む農場主アーンショーは、息子ヒンドリー、娘キャシーとつましくも幸せな日々を過ごしていました。
ある日、街に出かけたアーンショーはジプシーのみなし子に出会います。彼を哀れに思ったアーンショーは家に連れ帰って、ヒースクリフと名づけ、実の子供と同じように愛情を注ぎます。
月日が過ぎ、ヒンドリーやキャシー、そしてヒースクリフも立派に成長していきました。特にヒースクリフは、口数は少ないけれど眼光の鋭い、精悍な青年になっていました。
しかし、父の死後、家を継いだ息子のヒンドリーは、ヒースクリフに対して、まるで下人に対するような冷酷な態度に出るのでした。キャシーは主人から虐げられるヒースクリフに思いを寄せ、やがてヒースクリフは彼女に愛情を抱くようになります。
しかし、隣の村に住む裕福なリントン家の住人エドガーに出会ったキャシーは、そのエドガーと結婚してしまいます。キャシーへの愛に破れたヒースクリフは、自らの敗北に打ちひしがれ、嵐が丘を静かに去っていきます。そして数年後、事業に成功したヒートクリフは、立派な紳士になって、人妻となったキャシーの前に再び現れるのでした。
やがて、深い怨念を抱いたヒースクリフの復讐劇が始まり、物語は悲しい結末へと向かっていきます。

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嵐が丘という名からして、文字どおり嵐のような不吉な出来事の到来を予感させるムードがありますが、この映画の主題にもつながるムードをかもし出しているのが、ヨークシャーの広大な大地です。原題の「wuthering」は荒涼とした、嵐の吹き荒れる、という意味の方言らしいのですが、まさにそのような雰囲気満点です。見渡す限り草原が広がる丘の中にぽつんと立つ嵐が丘の邸宅。馬にまたがり草原を疾駆するヒースクリフの姿は、厳しい自然の中で生き抜く孤独とたくましさを全身で表しています。近視眼的には人間関係の愛憎でしかないけれど、それがこの嵐が丘という舞台で展開されるがゆえに、劇的な展開となって見る者の心を奪うのでしょうね。

イングランドには、嵐が丘読者のためのサイトがあり、何から何まで詳しく案内されています。地図がありましたので、何の参考にもなりませんが、コピーを載せておきましょう。作品の舞台となった嵐が丘は、リバプールから63マイルの距離にあるHaworth市の周辺にあるmoorlandという地域で、作者であるエミリーブロンテ自身が人生の多くの時間を過ごした場所だそうです。

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この作品は過去5回映画化されていて、わたしが見たのは最新の1992年作品です。
出演:ジュリエット・ビノシュ (キャサリン)、レイフ・ファインズ (ヒースクリフ) ほか
ピーター・コズミンスキー監督作品

過去5回の映画化の中で、フランス人のルイス・ブニュエルが監督した1953年作品は、メキシコの砂漠を舞台にしているそうで、これは是非見てみたいですね。ちなみに日本でも、1988年に吉田喜重監督バージョンがあります。中世の日本を舞台にストーリーをかなり手を加えていますが、松田優作と田中裕子のコンビで、なかなかの力作でした。

テーマ : 最近見た映画
ジャンル : 映画

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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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