スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

京都の平熱-哲学者の都市案内

kyotonoheinetsu.jpg


テツガク(現象学)のセンセイであられる鷲田清一氏が著した、「京都に生まれ育ち、今も京都に住む、生粋の京都人から見た京都論」。バスの社内が表紙になっているのは、京都駅を出発して市内を東回りで一巡し、京都駅まで帰ってくる「京都市バス206号系統」に乗って、京都の素顔をあぶりだそうという趣旨で、生まれてからこの方、著者の人生はすべて、この路線の上に展開してきたのだとか。写真家の鈴木里策氏とペアを組み、テツガクシャらしからぬ読みやすい文体と味わい深い写真とで、観光客には見えない京都の世界へ読者を引きずり込んでいきます。
ちなみに、以前から気になっていた「天使突抜」という地名(実際にあるのです)の謎も、本書を読んでやっと解けました。

京都の人は実は歴史意識はそれほど強くなく、リアリズムよりは技巧や虚構に親しむ傾向があること。
観光都市、あるいは西陣織など伝統工芸のイメージが強いけれど、実際には計量・精密機器、ゲーム、マネキンや女性下着など独特の産業を持つ工業都市であり、マネキンや女性下着はその精密計測技術が生み出したものであること。
「けったい」で「オモロイ」ものを大事にし、街に「三奇人」がいても決して好奇の目で見たりしないこと。
京都の学校には制服がなく、卒業式は仮想行列みたいだけど、反面、小さいときから「振る舞い」を自身で工夫する習慣をつけていること
その他。。。。いろいろありますが、あとは本書を読んでください。

京都の特徴である、「あっち」の世界への孔が街のあちこちに空いているということ。
それは、それだけ人間の多様さを受け入れ、許容する懐の深さを、京都という街全体が備えているということで、だから京都人はやめられない、のでしょうか。「あっち」は「あっち」でいいじゃないか。逆に、「あっち」からみたら、「こっち」は「あっち」になるわけだし。どちらかが正統でどちらかが異端というのではなく、その対等性をどちら側の人たちも認め合っているような。

本書で頻繁に登場する、「いきの構造」を著した京都出身のテツガクシャ、九鬼周造センセイの言葉。。。「縞」というのは、どこまで行っても交わることのない平行模様で、それは惹かれつつも合同しない異性間の緊張、つまり媚態という「いき」の風情を表している。。。うーん、思わずうなってしまいます。そうなのかな、そうかもしれない。すごい説得力がありますね。これは京都、ひいては京都人についてもそのままあてはまるのかもしれません。

「そうだ、京都行こう」族の人(笑)は、そっとカバンにしのばせ、喫茶店で抹茶をいただきながら、さりげなく読んでみてはどうでしょう。お店の人が、「お客さん、けったいな本、読んではりますなあ」と言うかどうかはわかりませが。またちがった旅になることは間違いありません。

それから、本書を手にしたら、81ページの図解をぜひ見てください。何ともいいようがないおかしさ。これも京都風の「いき」なのかな、と思いつつ。

講談社
定価 1,700円

スポンサーサイト

テーマ : レトロを巡る旅
ジャンル : 旅行

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリー
プロフィール

fabio777

Author:fabio777
古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

月別アーカイブ
ブログ検索
FC2カウンター
原発のない世の中へ!
【署名のお願い】自然エネルギー100%と原発の段階的廃止を実現するため「エネルギー基本計画」を変えよう!
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
リンク
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。