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トランシルヴァニア

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突然姿を消した音楽家の彼氏ミランを追って、トランシルバニアまでやってきたフランス人の女、ジンガリーナ。見知らぬ土地で、さまようように、ミランを探し続ける日々。そしてある日、一軒のカフェにぶらりと入った彼女の前に、バンドでバイオリンを弾きまくるミランの姿が!
やっとの思いで見つけた彼氏に駆け寄るジンガリーナを、しかし、ミランは残酷なまでに冷たく追い返すのでした。
半狂乱になった後、放心状態で祭りの行列の中を、人の列に逆らうようにさまようジンガリーナ。
連れの女友達マリーは彼女に「一緒にフランスに帰ろう」と諭し、国際電話で飛行機のチケットを予約するよう弟に頼んでいる間に、ジンガリーナの姿はクルマの中から消えていました。呆然とするマリー。目の前には、ロシアを思わせる荒涼とした大地がどこまでも果てしなく広がっています。

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ジンガリーナを捨てた音楽家ミランはロマ人の楽団の一員として放浪を続け、そしてジンガリーナもまたロマの男とともに放浪の身になるのでした。ポンコツのベンツTDLで怪しげな古物商を営むロマ人の男チャンガロと放浪とさすらいの生活を続けるジンガリーナ。

とても不思議な印象の残る映画でした。
男に捨てられた孕み女の行く末。。。という通俗的で現世的な主題を超えた深いテーマがこの映画の根底に敷き込まれているから。

映画の中で頻繁に出てくる「ロマ人」とは、いわゆるジプシーのことです。ジプシーが差別語だということで、ロマ人と呼ばれるようになったのですが、「ロマ人の女なんかと寝られるか!」というセリフからもわかるように、実質はジプシーとほとんど変わっていません。中世の昔から現代まで、こんな風にして故郷を捨ててロマ人となり、彼らとともに放浪を続けた人たちがいたのでしょうね。大国の都会の生活に疲弊した男、政治的に祖国を終われた者、嫁いだ家から追い出された上流家庭の奥方とか。犯罪者もいたでしょう。

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トランシルバニアは、ルーマニアの北西部、オーストリアやハンガリーと国境を接するあたりで、日本で知られていることといえばドラキュラくらいでしょうか。
この映画の主人公はもちろんジンガリーナだけれど、トランシルヴァニアの心象風景のすべてがこの映画の主題だといっていいでしょう。中世の時代と何ひとつ変わっていない人々の装い、習俗、日々の生活、住まいや街並み。民族音楽に合わせて踊りまくる人々、ルーマニア正教の祭りやジンガリーナに祝福を授ける教会の司祭、この地方の伝統的なタロット占い師、など。すべての「脇役」たちによって、トランシルバニアの心象風景が克明に描き出されています。
失意のジンガリーナが、町の小さなバールで民族音楽のリズムに合わせて踊りながら、お皿を割り続けるパフォーマンスは、見ていて楽しかったですね。

踊っている人たちは、みな幸福で、人生を愉しんでいるように見えました。でも、現実はちがう。華やかなパリと違い、生きていくのが精一杯の貧しい日々。皆でバールに集まって音楽に合わせて踊る以外に、何の娯楽もないのだから。
ロシアのウォッカがめちゃくちゃ度が強いのも、冷たく寒いロシアの風土と無関係ではないでしょう。

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yahoo.comで、トランシルヴァニアの風景を探してみました。古い教会建築や伝統的な街並みなど、美しい写真がたくさん見つかりますよ。ただ、この映画にシンクロするような画像というと、こんな感じかな。見ているだけで心の底から孤独感が湧き上がってくるような荒涼とした大地。

映画の半分は舞台設定で決まる。。。とすれば、この映画の影の主人公はトランシルヴァニアの風景だといえるかもしれません。
そして、故郷とは何か、民族とは何か、そして、そもそも定住とは何かなど、いろいろなことを暗示してくれる作品でした。

監督・脚本・音楽:トニー・ガトリフ
出演:アーシア・アルジェント(ジンガリーナ)、アミラ・カサール(マリー)、ビロル・ユーネル(チャンガロ)
2006年フランス作品
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テーマ : 最近見た映画
ジャンル : 映画

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