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吉田-たたら製鉄を今に伝える古の製鉄地帯

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奥出雲地方は、砂鉄を産するところから、古来より、「たたら製鉄」と呼ばれる技法で和鉄を製造していました。たたら製鉄とは、粘土で築いた炉に砂鉄と木炭を入れ、ふいご(送風機)で風を送って木炭を燃やし、砂鉄を溶かして鉄を生産する方法。その起源はなんと弥生時代にまで遡り、生産量は全国随一で、刀剣や茶器など、全国の鉄需要を賄ってきた、中世日本の製鉄所だったのです。
近代製鉄技術の流入により、大正末期をもって、たたら製鉄の技法は急速に消えていきましたが、「鉄の町」宣言をしたこの吉田町には、今も当時をしのばせる遺構が残されています。また、かつてこの地方の製鉄業を一手に仕切り、専用船で鉄製品を松江に運び捌いていた鉄山師の大富豪、田部(たんべ)家の蔵も並んでいます。
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鉄山師の家々が並ぶ吉田町の街並み。右は「鉄の歴史博物館」。日本鉄鋼連盟(かつての鋼材倶楽部)が編集した、たたら製鉄のビデオ(30分ほど)は必見。大正末期に廃れた、たたら技術を復活させようと、昭和40年代、最後のたたら職人に再び、鉄作りを行ってもらい、その模様を収録したもの。鉄という工業製品が、人の手を使い、文字通り丹念に手作りされている様子がわかります。
土で築いた溶鉱炉を使い、砂鉄から次第に純度を上げていく精錬作業は、気の遠くなるような作業で、職人たちの長年の間と知恵、そして繊細さと粘り強さなしに到底なしとげられるものではなかったでしょう。専門家によれば、彼らが精錬した鉄は現代の製鉄技術では困難なほど純度が高かったそうです。
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鉄の歴史博物館の収蔵庫として使われている、茅葺民家。鮮やかな石州瓦葺の下屋との調和が美しい。
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吉田の街並みから山奥に入ったところに、菅谷山内という集落があります。
川で砂鉄を選別する者、炭焼きをする者、そして、製鉄技術者などで構成されていた集落で、「山内」とは製鉄施設と職能集団の集落を意味します。
クルマ1台やっとという、片道1車線の細い川沿いの道を10分ほど走ると、茅葺の屋根が見えてきます。何だか秘境っぽい雰囲気です。たたらが行われていた「菅谷高殿」が現存していて、今でも中での製鉄の様子をうかがうことができます。このような山奥でひっそりと鉄作りが行われていたということ自体、にわかには信じられません。砂金を選別していた近くの小川は茶褐色に染まっていました。
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菅谷高殿。1571年から大正10年まで操業していたというから驚きです。
中にはかつての溶鉱炉が復元されています。製鉄には1,300℃以上の高熱が必要で、ふいごによる強力な風力を大量の燃料(木炭)に向けると、すさまじい火柱が立ち、生半可な建物では火が燃え移ってしまいます。そのため、この高殿は4本の高強度の柱を立てて、可能な限り天井高を高くし(GLから棟まで8.6m)、屋根を開閉式にするという「ハイテク」が施されていました。日本に現存する唯一の高殿です。18.3×18.3mの正方形平面で、屋根は柿葺で土壁の破風を持っています。溶鉱炉から引き出した鉄を急冷するために投げ込んでいた池も、高殿の前に残存しています。
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元小屋。天保4年の火災の直後に再建された桧皮葺で、事務所兼作業場として使われ、風呂場、台所などの生活機能も有していました。間取りは普通の農家と同じそうです。

■島根県雲南市吉田町吉田■
吉田は中国地方のちょうど中間に当たり、いろいろなルートがあるが、いずれもかなりの走行を要する。中国自動車道からは三次ICを下り、国道54号線で赤来、掛合と北上し、掛合で県道8号線へ。または、ホリエモンの選挙で有名になった庄原ICで中国自動車道を下り、国道432号線を北上し、仁多で県道269号線へ。出雲方面からは、国道9号線から宍道で国道54号線に入り、三刀屋木次を経由して掛合から県道8号線へ。平成の大合併で、雲南市に編入された。町内には、鉄の未来博物館という近代的な施設もあるが、個人的には菅谷たたらを是非とも見に行かれることを薦めたい。
隣接する奥出雲町の出雲三成には、松本清張の「砂の器」で有名な亀嵩があり、駅では亀嵩そばも食べられる。ただし、映画のロケは別の駅で行われた。
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