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東京拘置所の風景

東京都足立区小菅。
今や北東京の一大ターミナルとなった北千住駅から荒川を越えると、その建物は見えてきます。
屋上にヘリポートがある近代的な建物は、ぱっと見、病院のようにも見えます。
この建物、しかし、病院ではありません。
何をかくそう、あの東京拘置所なのです。
もとはといえば、もっとポロっちかったのですが、8年くらい前でしょうか、全面的に建て替えられました。冷暖房完備で快適な反面、「個室」からは外がまったく見えず、屋上にある運動場からは空しか見えません。外界から遮断され、無機的で、精神的におかしくなる人もいるんだとか。

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東武伊勢崎線で北千住駅の次の小菅駅のホームに立つと、日常的に電車が行き来する目と鼻の先に、その「異界」は存在します。
気づかない人にとっては、また興味のない人にとっては、あってもなくても関係ない建物。
日々の暮らしとは隔絶された世界。
下車しても、駅の案内表示に「東京拘置所」の表示は見当たりません。
なんとも不思議です
あるべきではない建物がひっそりと存在している、というべきなのか。。。

P9230019_convert.jpg

悪いことをして法律に違反すれば、手錠をかけられ、おまわりさんにしょっぴかれて、ここにぶちこまれます。
裁判が確定し、実刑判決になれば、ここから全国各地の刑務所に移送されます。
裁判が確定するまでは、保釈にならない限り、ここから出ることはできません。
あとは、死刑囚も、刑務所ではなく、拘置所に「住んで」います。
先日、第一次菅内閣の千葉法務大臣によって公開された処刑室は、ここ小菅の一角にあります。
なぜ唐突に公開したのか、いまだに深い謎ですね。
何の意味もなかったような。。。


ところが、最近は、何も悪いことをしていなくても、こういう施設に入れられてしまうことがあります。
とてつもなく恐ろしいことです。
厚労省幹部の村木さん、彼女は大阪地検特捜の手により極悪人に仕立て上げられ、半年以上にわたり、大阪拘置所に拘留されていました。

無罪判決が出た直後、大阪地検特捜部によるFD改ざんが発覚し、主任検事が逮捕されるという、わけのわからないことになってしまいました。
一体全体、どうなっているのでしょうか。

そもそも、村木さんのこの事件、当初から無理っぽい雰囲気がありましたね。
検察が筋書きを見立て、そのストーリーに当てはめるように容疑者をしょっぴき、密室でグリグリ締め上げて、都合のよい供述を誘導し、調書を作文してしまう。
同じような体質は、警察にもあるのかもしれないけど、特捜の場合はそれに輪をかけてひどい。
事件を作っちゃうわけだし。
そう、例の「国策捜査」ってやつですね。

この「国策捜査」という言葉を広く世に知らしめたのは、佐藤優さんの功績でしょう。
「国家の罠」をまた、読んで見たくなり、さらっと再読してみました。

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数年前、この本を読んだときにはとにかくショックで、しばらく興奮してたことを覚えています。
佐藤さんと対峙し、本書によっておそらく日本一名の知られた検事さんになったかもしれない、西村検事。
西村さんの言葉が、リアルに再現されていて、特捜という組織の性格がよくわかります。

「国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それで断罪していくんです。(佐藤さんは)運が悪かったとしか言えない」

「国策捜査は冤罪じゃない。だいたい国策捜査の対象になる人は、その道の第一人者なんだ。ちょっとした運命の歯車が違っただけで塀の中に落ちただけで、歯車がきちんとかみ合っていれば、社会的成功者として称賛されていたんだ。そういう人たちは世間一般の基準からすると、どこかで無理をしている。だから揺さぶれば必ず何か出てくる。そこに引っ掛けていくのが僕たちの仕事なんだ。だから、捕まえれば必ず事件を仕上げる自信はある」

「万一無罪になっても、こっちは組織の面子をかけて上にあげる(=上訴する)。10年裁判になる。最終的に無罪になっても、失うものが大きすぎる。国策捜査で捕まる人は頭がいいから、みんなそれを読み取って呑み込んでしまうんだ」

「調べ室の中で、僕たちは絶大な権力を持っている。この権力を使って何でもできると勘違いする奴も出てくる。怒鳴りあげて調書を取れば、だいたいの場合はうまくいく。しかし、それは筋読みがしっかりしているときだけにいえる話だ。上からこの流れで調書をとれ、という話が来る。それを「ワン」と言ってとってくる奴ばかりが大切にされる。僕は「ワン」という必ず形で仕事をできないんだ」


裁判官はともかく、検察官の「本音」ともとれる考え方を、しかも取調室での真剣勝負の中で展開された話が、こうして活字になっていること自体、考えてみれば、すごいことだなあと思います。言論の自由が保障された日本ならでは、なのかなと思います。普通の国なら、圧力がかかるのが当然だろうし。
そして、特捜という組織に身を置きつつ、その体質に染まらずに自分のやり方を通す西村さんも、すごいと思う。


こうした西村検事とのやり取りを経て、佐藤さんは、国策捜査の性格を次のようにまとめています。

「国策捜査とは、国家がいわば『自己保存の本能』に基づいて、検察を道具にして、政治事件を作り出していくことだ。冤罪事件と違って、初めから特定の人物を断罪することを想定したうえで捜査が始まるのである」
「だから、国策捜査のターゲットになり、検察に『蟻地獄』を掘られたら、そこに落ちた蟻は助からないのである」


今回の村木さん事件の報道を見ていると、やっぱり国策捜査だったんだな、という印象が強いですね。
ただ、佐藤さんが見立てていたほど「水準の高い」国策捜査じゃなかった。
FDを改ざんしたり、改ざんしたFDをそのまま返却したり、お粗末というよりは、なんか変ですね。
検察ってこんなに軽かったの? って思われちゃいますね。
この際、徹底的に解明してほしいと思います。


村木さんは無事、無罪になったけど、鈴木宗男代議士は塀の中の人になってしまった。
これでもし、鈴木代議士が無罪になっていたら、検察の権威は地に落ちていたでしょう。
だから、村木さんの無罪判決の前に、鈴木代議士の異議申し立てを棄却した、という見方もあるみたいです。
鈴木代議士は、「政治的な判決だ」とおっしゃっていましたが、真実は闇の中。

雨に煙る東京拘置所を遠くから眺めつつ、ここに蟻地獄に落ちた人がいないことを祈りたくなりました。

最後に、鈴木宗男代議士がこういう結末になった原因は、彼の「周囲の嫉妬心に無頓着な性格」が災いしたと、本書には書かれています。これは、佐藤さんと西村検事の一致した見立てです。鈴木代議士は、日ロ友好と北方領土返還という目標に向けて、あまりにもがんばりすぎて、その結果、鈴木氏に権限が集中していくのに周囲がやっかんでいるのを気付かず、無防備な状態で足をすくわれてしまった、ということのようです。こういうのを「脇が甘かった」というのかもしれませんが、鈴木代議士は、テレビや週刊誌が面白おかしく書き立てるような政治家ではなく、とにかく真面目な人だと思うし、日本外交にとって大きな損失だと思います。
鈴木代議士の実刑確定を聞いた政治家たちの多く(日本共産党を除く)は、テレビインタビューで、鈴木氏の実績をあげ、残念だと答えていました。
今となっては仕方のないことですが。。。




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