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原発ジプシー

-原発ではホームレスのような人たちがぼろ雑巾のようにこき使われている-
この手の話は,以前から巷で噂されていたと思います。
もちろん,電力会社がそんな真実を明らかにするはずもなく…。
それなら,自らが原発労働者となって実態をあぶりだそう,という趣旨で書かれた本です。

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著者はフリーライターの堀江邦夫さん。
「1960年代前半に生まれた私が学生時代に古本で買った本」だから,相当に古い本です。
初版は1979年!
よくぞ,我が家の片隅で眠っていたものですね。

今回の福島第一原発の騒ぎで,もう一度,探し出して読みたくなったというわけです。

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裏表紙には,日立プラント建設の入構許可証が印刷されています。
「なんだ,立派な会社の社員のご身分じゃないか」なんて,ゆめ思ってはいけません。元請-下請-孫請という典型的な重層構造の最底辺に,原発労働者たちは置かれているのですから。

その仕事たるや,放射線の危険と隣りあわせで,重く息苦しい放射線防護服に身を包み,「死の灰」と戦いながら,狭い配管やら炉の中を汗だくになって這い回る,とてつもなく過酷な労働だということがひしひしと伝わってきます。

堀江さんは,原発に賛成とも反対とも言っていません。個人的な感想さえも,ほとんど書かれていません。
原発に反対するためではなく,ただ,原発の内部の真実を明らかにするために,この本を書いたのだと思います。日記形式で,ひたすら,その日の作業内容を克明に,正確に書き記しています。
映像で見ているかのように,非常にリアルです。

テレビに出る専門家や評論家がいかに安全だと繰り返しても,実際には安全ではないのです。
というか,彼らのおっしゃる安全とは,「放射能が原子炉建屋の外に出ることはない」という意味で,「そのために戦う人たちの安全」は考慮していない,のかもしれません。  

これでは,まさに「棄民」です。
原発から原発へとジプシーのように渡り歩き,被爆し,ガンを発症し,「棄民」される。

命の危険を冒してまで原発で働かなくても,もっとまともな仕事があるじゃないか…。
世間一般には,そう思うことでしょう。
つまり,原発労働は「まともじゃない仕事」なのです。
果たして,本書においても,西成や釜が崎から連れてこられた労働者の方たちが何人か登場します。その筋の方たちが関っているという噂もありますね。

つまり,原発はそれだけ危険だということです。原発は,その理論や技術がいかにご立派なものであっても,メンテナンスを欠かすことができません。このメンテナンス作業は,被爆と隣り合わせの危険な作業なわけです。


報道によると。
大地震が発生して数日後,福島第一がいよいよヤバくなり,東電は菅首相に「東電社員の全員撤退」を打診した。それを聞いた首相は東電本社に乗り込み,会議室の外にも聞こえるような大声で,東電の幹部たちを怒鳴りつけたそうです。首相が怒鳴らなければ,東電は撤退を決め込んでいた。。。恐ろしいことです。手が付けられなくなった原発をどうするつもりだったのでしょうか。あとは自衛隊がやってくれると思っていたのでしょうか。

福島原発の実況中継で,偉い人たちが「自衛隊や東京消防庁や東電職員の方たちが,日本のために最前線で命を張ってがんばってくれている」と言っています。それはもちろん事実です。その努力には,本当に頭が下がります。
ですが,忘れてはいけないのは,こういう有事だから命を張っているのではなく,

平時であっても命を張る人々によって原発の安全は保たれる

ということです。

フリーライターがこれだけ決死の取材をしなければ,原発の真実は明らかにはされないのでしょうか。
数日前,ヨーロッパに帰った知人いわく,「日本政府も東電も,本当のことを言ったら国民が大パニックになるから,決して本当のことは言っていない。海外ではみんな,そう思っているよ」

堀江さんが勤めた原発は,福井の美浜,福島第一,そして敦賀です。
あの福島第一にも,作業員として勤めたわけです。

今頃,どんな思いでもこの未曾有の災害を見つめておられることでしょう。


正直,原発はもう無理ですね。。。
制御の利かなくなった怪物のようなもの。
新規着工をやめ,今稼動しているやつをごまかしながら,将来に向けてソフトランディングさせていく以外に方法がなさそうです。

原子力の詳しいことは何もわかりませんが,ひとつ言える事は,今回の震災で,たとえ日本が復興したとしても,震災前の日本に元どおりに復興することはない,ということでしょう。

電気の供給量は限られている。
本来,当たり前のことだったのかもしれません。
供給可能なエネルギーの範囲内で何とかマネジメントするというのが,これからの日本。
そういう意味で,計画停電は,今後,恒常化するのではないかと思います。

掛け声だけじゃない,C02だけじゃない,本当のエコに踏み出さなきゃいけなくなった。
そして,それはドラスティックな変化を私たちに強いるものになるでしょう。

なんだか気が重い。。。 

危険な作業の内容については,下記を参照ください。
危険な作業のひとつに「ネッコー」というのが紹介されています。

美浜原発のタービン建屋の3階にある高圧給水加熱器。熱交換器をもじって,ネッコーと呼ばれているらしい。

足場の上から,直径50cmほどのマンホールに身体をねじ込んで,中に入る。

中はとても狭く,鋼板で上下に仕切られていて,上下に一人ずつ入ると頭が天井に着いてしまう。

正面の板には1cmほどの孔が無数にあいている。

作業の目的は,ピンホールがないか有無を検査すること。

鋼板の上にいる者が,壁面にあいた孔から,ノズルのような棒で空気を送る。

送られた空気は,壁の後ろの配管を通り,板の下にいる人の前の孔に出てくる。

下にいる人間は,先端がゴムの棒で孔を押さえ,一定時間,エアが漏れなければピンホールなしとする。

これを孔の数だけ永遠に繰り返していく。

堀江さんが後で数えたところ,孔の数は2120個あったそうです。

板の上にいる堀江さんがエアを送る。10秒後,板の下にいる先輩から「ヨシ」の合図。

次の孔に移ろうとノズルを抜いた瞬間,管内に付着していた粉塵が一気に噴出してきて,目の前が真っ暗になった。

3,4個の孔のチェックを終わっただけで,中の空気は澱み,裸電球の周りには無数の金属片が浮遊している。

「これじゃ,死んじゃうぜ」「よし,いったん外に出よう」

全身,真っ黒になっている。のどがヒリヒリし,鼻をかむと細かな金属片が出てきた。

しばしの休息の後,今度はダストコレクターを持って中に入る。
が,ないよりマシ程度に過ぎない。

作業能率も上がらず,計算上は100か所の検査で17分のはずが,実際には30分もかかっている。

次第に手足の感覚がなくなり,目の底に重い痛みを感じ,ノドがヒリヒリする。

終わる頃には,足も立たなくなっていた。

ある作業員がつぶやいた。「まるで地獄だよ,あそこは」

まだこれはいいほうで,管理区域内に入れば,被爆と紙一重のより危険な作業が待っています。

ちなみに,タービン建屋の熱交換器は,管理区域「外」のため,完全防護服ではなく,普通のツナギにマスク程度の軽装備で作業するのだそうです。今はどうかわからないけど,少なくとも当時はそうだった。


堀江さんいわく,「原発の設計者は,定期点検のことをまったく考えていないとしか思えない」

原発に定期点検が欠かせないなら,点検する際の作業のしやすさを考慮すべきだ。

最近でこそ,メンテナビリティーなどの洒落た横文字で言われるようになってはきたが。

中に人が入るのにマンホールの幅が直径50cmもない.

多量の粉塵が発生するのに,換気設備を接続することも出来ない。

本書の表紙に描かれている「原発イコール科学の虚妄を剥ぐ」という言葉は,こういう体験をして初めて出てくることなのでしょう。

うがった見方をすれば,原発を押し付けた土地に見返りとしての「雇用」を生み出すため,あえて定期点検を人の手にゆだねる設計にした,てのは考えすぎかな。

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テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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