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原発・正力・CIA

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一言でいえば、『権力へのあくなき野望を燃やす読売新聞社主・日本テレビ社長の正力松太郎が、総理総裁への足がかりとして、日本に原発を導入した』。
その流れを、CIAの外交秘密文書を丹念に調べながら、裏付けていったものです。
2008年2月に出た本なので、今だったらまた違ったまとめ方になるかもしれません。

正力は初代原子力委員長であり、科学技術庁長官も歴任した衆議院議員であり、「原子力の父」と呼ぶらしいです。しかし、本書を読む限りでは、原子力そのものはどうでもよくて、要は自らが総理総裁の座に就くための手段でしなかった、というロジックになっています。
それと、日本の原発導入は、CIAの働きかけが大きかった。
民主党がベトナムに原発を売り込んだように、アメリカの政産軍複合体が、国策として日本への原発売り込みを図り、その窓口として、読売新聞と日本テレビを擁する正力が選ばれた。

CIAは暗号で、正力のことを「ポダム」と呼んでいたそうです。

実際のところ、どうだったのかはわかりません。
死人に口なしだし、正力なりに日本の将来像を見据えたうえで、原発導入に踏み切ったのかもしれないし。

70歳近くになり、政治家として後がない正力が、政治家としての一発逆転を期そうと、原発導入を急いだことで、いくつかのミスを犯しました。
それらが、原発が抱える構造的な問題として、現在まで尾を引いています。

そのひとつが、原子力賠償法の免責規定です。


当初はアメリカの原子炉を導入する線で話が進められていたところ、アメリカから、日本で商業運転するにはもう少し実験を重ねる必要があるから、あと5年は待て、という話になった。
正力は一刻も早く原発を導入し、商業発電を開始することで、総理総裁の座につきたかった。
ちょうどその頃、一足先に原発の商業発電を開始していたイギリスから、「安くて手ごろな原発を輸出してあげますよ」という甘いささやきを受ける。
5年も待てないと思った正力は、アメリカとたもとを分かち、イギリスからの甘い話に飛びついてしまった。
そして、広大な敷地のあった茨城県東海村に、イギリス製の原子炉を建設する話を決めてしまった。

原子力賠償法の免責規定は、正力の政治抗争の結果だった、という側面もある。

当時、原発の運営を電力会社主体とするか、国主体とするかという論争があった。
電力業界や財界の支持を背景に原子力委員長になった正力は、当然、民間主体で行くつもりだった。電力業界の利益追求の方向に原発を位置付けていた。
一方、水力が主体だった国策会社の電源開発が、原発分野に乗り込んでこようとしていた。

当時、河野一郎の派閥「河野派」に属していた正力にとって、河野は派閥の親分でもある。
その親分が、電源開発側についた。要は、「原子力は国策で」という方向だ。

民間主体を推し進めた正力は、こともあろうに派閥の親分とけんかしてしまう。
結果、正力は親分から干され、政治的に失脚することになってしまった。

そこに追い打ちがかかる。
イギリスの原子炉には構造的に問題があり、すでに運転中の事故を起こしていた。
そればかりか、日英動力協定に、イギリスは「免責条項」を持ち込んだ。
イギリス製の原子炉で事故が起こっても、イギリスは何も責任を負わない、というものだ。

民間主体で運営する原発なのに、イギリスの免責条項が加わったら、すべてを電力会社で賠償しなければならない。保険で賄える額ではない。賠償は国でやるしかない。

民間で行くと豪語していながら、賠償だけは国にお願いせざるを得なくなった正力が政治家としての立場を失ったのは、想像に難くない。

民間の電力会社の発電所でありながら、賠償は国が行うという「二重構造」は、こうして生まれた。
1961年に成立した原子力賠償法は、電力事業者は保険契約し、最高50億円まで賠償し、それを超える額については国が補償する旨を定めた。


原発だけに照準をあてた本ではありませんが、免責規定の経緯がわかったという点では、面白い本でした。
ただ、正力の段階では、原発を日本に試験的に導入しただけでした。
まだ軌道修正する余地は大いに残されていた、と思います。

その後、50基を超える原発が日本にできるなど、正力自身、予想していたかどうか。
正力の後を次いで日本に原発を推進したのは、いったい誰か。
問題はそっちのほうですね。
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ジャンル : 本・雑誌

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