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鎮魂と再生―東日本大震災・東北からの声100 

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藤原書店から今年三月に刊行された本です。
東北にゆかりの深い記者やライターが、ひたすら被災地の生の証言に耳を傾け、書き起こしたものです。
震災発生時の状況、いかにして生き延びることができたか、そして震災後の状況まで。

性別、年齢、職業、さまざまな立場の方たちが、決して現実を誇張することなく、淡々と、ご自身の言葉で、語りかけています。
それは、書き手もまた被災者だったから、できたこと。
変な思い入れとか予断がなく、いい意味で客観的に、まさに「淡々と」まとめられています。
500ページ近い厚い本ですが、読み始めると一気に読んでしまうと思います。

被災地に生きていない人は、大震災の記憶が徐々に薄れかけていってると思います。
大震災当時は、みんなあれだけ飲料水やら電池やら缶詰やらの備蓄に走ったのに。
人間てのは忘れやすい生き物なんですね。
この本は、そんな私たちにがっつーんと鉄槌を下してくれます。

一般的な国民の、今回の大震災への理解は、「映像」を中心に広まったと思います。
被災地の方々が撮影したリアルな映像がインターネットで次々に流された。
本当にすごかったです。
信じられないくらい、すごかった。

でも、時間がたち、何度も見ているうちに、次第に驚かなくなっていく自分がいることに気づきます。
被災した方たちにとっては、トラウマであり、見るだけで心身に異常をきたすほどの映像だというのに。
この違いは、一体なんでしょうか。

結局、被災者でない人間にとっては、対岸の火事でしかないという気持ちがどっかにある。
よく「追体験」などと言うけれど、その場にいなかった人間にとっては、いくらイマジネーションを膨らませたところで「疑似体験」でしかなく、一種のプラシーボでしかありません。

そこで重要になるのが、こういう「体験集」なのでしょう。
その場で被災した方でなければ語れない現実が、100人いれば100の現実が、そこにはあります。

インターネットで津波を見て「すごいね」と言っているだけでは、津波の恐ろしさを何もわかっていない。
当たり前のことに気づかされます。

それと、被災地の方たちの心情や生活と、今の政治があまりにもかけ離れていること。
政治というのは、こういう時に力を発揮するものではないのでしょうか。
まったく不思議です。

いよいよ復興に向けて頑張らなきゃいけない時に、政権党にいながら、わざわざ党を分断して混乱させているだけのバカ議員どもに、ぜひ一読を願いたい。

被災地には、復興という言葉が上滑りして聞こえて仕方がないのだと思います。
そもそも、復興って何?
現実も知らずに、考えもせずに、ただ言葉だけで、復興、復興といってるだけの人が多すぎる。
「被災地は復興に向けて明るくがんばっています」
そういうテレビリポーターの声が、現地の人たちにどう響いているのか。
現地の皆さんと一緒に生活する中で考えなきゃ、復興の姿なんて見えてくるわけない。
それと、被災地を訪れた芸能人の人たち、カメラの前で、被災者の方に元気をもらいましたなんてねよく言ってたけど、肉親や友人を流され、家も流され、二重ローンを抱え、仕事も見つからない被災者の方から元気をもらうって、一体全体どーいうことさ。。。
ボランティアの人にも、そういうセリフを口にする人がいるらしい。
「どこかの芸能人みたいなこと言うんですね」という嫌味も通じなかったとか。
彼女なりに本当にそう思っていたのかもしれないけど、とはフォローしてたけど。

それくらい、被災者とそうでない人とのギャップは大きい。

災害が常に「対岸の火事」である以上、このギャップは永遠に埋まることはないのかもしれません。
ただ、ギャップがあるという自覚だけは持ち続けなきゃいけない。

この本は、3200円とちと高いけど、買うだけの価値はあります。
生き延びた人がこれだけの経験をしたのなら、亡くなった方はもっとすさまじい経験をしているわけです。
亡くなった方の話を聞けない以上、生き残った方の話を聞くことがどれだけ重要か。
できれば、地元の図書館に一冊、置いていただけるといいですね。

続編の「福島編」も楽しみにしています。
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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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