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ガンバ大阪がJ1から消える

Jリーグの西の雄、ガンバ大阪がまさかのJ2降格を喫した。
多少なりともサッカーに親しんでいる人にとっては、まさかのありえない事態である。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
監督人事のゴタゴタだの、得失点差プラスで降格だの,前田の伝説だの、とりあえず置いといて、自分なりに要因を考えずにはいられなかった。

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(写真:サンケイスポーツよりお借りしました)

今年は、11月7日(水)に日立柏サッカー場で行われた柏レイソル対ガンバ大阪の試合を見に行った。
これがJ1でガンバを見る最後になる(少なくとも来シーズンまでは)とは毛頭思わなかった。
戦力に差の少ないJ1では、18チームのうち下半分に降格の可能性がある。
J2から昇格したばかりのチームがいきなり優勝したかと思えば、
タイトルをとったチームがいともあっけなくJ2に落ちたりする。
昇格・降格のスリリングさに限れば、世界屈指のリーグと言ってもいいかもしれない。
それでも、ガンバだけは最後の最後で踏みとどまるだろう、とは思っていた。

試合は、レイソルがお家芸である電光石火のカウンターで、若きFW工藤が2発、GK藤ヶ谷のガードを破った。
いずれも豪快なゴールだった。
しかし、負けはしたが、ガンバも素晴らしかった。
パス回しは明らかに、ガンバのほうが数段上に思えた。

レイソルに1点先制された後、センターサークル付近にいたMF武井から前線のFWレアンドロに推定40m近いスーパースルーパスが通った。
レアンドロは寄せてきたDF2枚の間をくぐり抜け、華麗にゴール。
パスを回しながら、一瞬の隙を突いた、針の穴を通すようなパス。
それをきっちり決める決定力。
「この形は何度か練習はしていた」とはいえ、それをゲームで成功させてしまうところに、ガンバのすごさを感じた。
レイソルサポーターも、このワンプレーには度肝を抜かれたはずだ。

そのガンバが降格した。いったいなぜだろうか。

自分なりに、一番の原因は、闘将不在にあるのではないか、と考える。

かつて鹿島の黄金時代を支えた秋田、FWも「兼任」する名古屋の闘利王、代表でワールドカップに2度出場したマリノスの中澤、ボランチで周囲を怒鳴り散らしていたジュビロのドゥンガ。俊輔のいたセルティックにはニール(現監督)がいたし。
強いチームには、チームメイトさえ近寄りがたい雰囲気の「闘将」がいた。

ガンバには「闘将」の文化がない。
しいて言えば、Jリーグ初代監督のカマモトくらいだろうか。

長年、ガンバのDFラインを統率してきたDF山口(今シーズンからJ2千葉に移籍)にしても、闘将タイプではなかった。
考えてみれば、山口の前任のDF宮本は同志社だし、ガンバの頭脳と言われたMF橋本は確か大阪市大を出てるし。
司法試験に受かって弁護士になった元ガンバ選手もいるし。

チームメイトの誰かが言っていたが、みんな自立している『大人のチーム』。
「言わなくてもわかっているだろう」「わかっていることをいちい言わなくてもいいだろう」。
そんな「大人の関係」が、今回はすべて悪いほうに出てしまったような気がする。

個人的には、遠藤保仁は大好きである。
あのひょうひょうとしたたたずまい。
どんな状況でも冷静な判断力。
多くのチームメイトが信じてボールを預ける。
見ている側も、遠藤にボールが渡ると、とりあえずほっとする。

話は飛ぶが、彼のような存在は、サラリーマン社会でも、理想的なタイプではないだろうか。
人の悪口や陰口を言わない。
人にあれこれ指示する前に、自分から黙って率先して動く。
部下の持つ力を最大限に発揮させてくれる。
不思議な包容力がある。
何があっても感情的にならず、冷静に、事態を落ち着かせる手段を見い出せるような。
上からも下からも頼りにされる存在。
いつもカッカしてるだけの上司より、はるかに頼り甲斐を感じるのではないだろうか。

しかし、今季は遠藤が遠藤らしくないプレーが多かった印象がある。
パスミスが多かった。残留のかかった試合でも、「え?」、というパスミスが何度かあった。
パスミスは相手との呼吸だから、遠藤だけの問題ではないが、明らかに相手の意図と全然かみ合わないスペースにパスを出すことがあった。
プレッシャーを受けて苦し紛れの横パスをはたき、カウンターを食らうこともあった。

一方、11月7日のレイソルとの試合では、試合終盤、ガンバサポーターが陣取るレイソルのゴールに頭から突っ込み、ゴールポストに激突した。
試合は5分近く中断した。
最初は何が起きたか、よくわからなかった。
さすがに交代かと思ったが、なんと彼は頭全体を包帯で巻き、ピッチに戻ったのである。
痛いそぶりも見せず、変わらないプレーを続けていた。
翌日わかったことだが、彼はあごの下を9針縫っていたのである。
数日後には日本代表の試合で中東に旅立っていった。

いい意味でも悪い意味でも、らしくない姿をしばしば見せていた遠藤。

見た目には冷静なコメントをしていても、内心かなり焦っていたのではないだろうか。

だが、彼はそれを口に出すタイプではない。
不安を口にして周囲を心配させたり、逆に周囲を空元気(?)で鼓舞するタイプでもない。
MF明神も、DF今野も、MF二川も、どちらかというと口ではなくプレーで示すタイプ。

そんな「成熟した大人の関係」の蓄積で、「ガンバのサッカー」が形づくられてきた。

残留のかかった試合前、テレビ画面で見た限り、ガンバの選手には、あまり悲壮感は感じられなかった。見た目、いつものゲームと印象は変わらなかった。良く言えば「平常心」なのかもしれない。ただ、あまり言いたくはないが、笑いを浮かべている若手選手もいた。初めて感じる残留争いの独特の緊張を必死に打ち消していたのだろうか。

選手の一人がこんなコメントをしていた。
「あと一歩足を踏み出すべき部分で甘さがあった」
サッカーでよくいうところの「球際の強さ」なのだろうか。
泥くさいけど、ガツガツいかなきゃ。
それがなきゃ、いくら芸術的なスルーパスがあっても始まらない。
うまいだけじゃ、サッカーは勝てないってことである。

試合終盤の足がつりそうなギリギリの状態で、それでも「走れ」「脚を出せ」と徹底させるのは、やはり「闘将」の力なのかもしれない。

そんなことを感じた。

最終戦で素晴らしいゴールを決めた倉田は、いま売り時だし、移籍する可能性が高いと思う。
欲しがるチームは多いに違いない。

だけど、おそらく多くの主力とともに、遠藤もたぶんチームに残るだろう。
ガンバのサッカーはJ2ではきびしかろうが、それは逆に、ガンバのサッカーとは何かを見つめ直すことでもある。
J2に落ちたレイソルがそうだったように。

昇格して即優勝するくらいの地力をつけて、来年、必ずJ1に戻ってきてほしいと願う。
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テーマ : Jリーグ
ジャンル : スポーツ

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