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スペイン巡礼史

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旅と旅行はどう違うか、なんて問題設定をしたところで、せいぜい、旅行はあらかじめ計画されたコースをたどる空間的な移動であるのに対して、旅は計画性を持たない日常性からの逸脱の過程である、などといった陳腐な考えしか出てこないかもしれません。でも、それじゃあ「旅」の原点は何かという話になると、これはさあ大変です。歴史をずっと遡っていかなければなりません。

新幹線も飛行機も、いわんや鉄道も自動車もない時代、旅はどういう意味を持っていたか?

かつて、旅とは巡礼でした。

日本であれ西欧であれ、巡礼という行為はいつの時代にも存在しました。スペインには、エルサレムとならぶ聖都、サンティアゴ・デ・ラ・コンポステーラがあります。世界のカトリック教徒たちは、追いはぎに追われ、猛暑にあえぎ、病に苦しみながらも、文字どおり地を這うようにして、広大なイベリア半島の北西の地の果てまで、巡礼の旅を続けていきます。

学校の歴史の授業では、中世はひたすら諸帝国の領土争いの歴史でしかなく、その上っ面を年号だけ暗記させられるのだから、たまったものではありません。理系コースで世界史の未履修問題が発生するのも、ある意味で当然なのかもしれませんね。でも、『巡礼』という行為をベースに当時の世相を見つめれば、その暮らし、社会の構造、価値観、生活と宗教、建物、食べ物、コトバ、衣装、風景。。。などありとあらゆるものが眼前に浮かんでくるようです。あたかも当時を生きる同時代人として、巡礼という舞台に立っている自分を想像しながら、旅とは本来こういうものだったんだ、と気づかせてくれるんですね。そういうイマジネーションの材料を提供してくれる貴重な一冊だと思います。

スペインを舞台とした巡礼の宗教的・歴史的意味について研究している筆者は、本書で、スペイン巡礼と日本の四国八十八霊場めぐりとの共通性に言及しています。こうしたテーマのシンポジウムまで開催されているというから驚き。巡礼は、ひとつの文化現象であり、インターネットで情報が瞬時に飛び交う現在も、「旅」の原点としての意味を持ち続けているのではないでしょうか。

カトリックにはこんな巡礼専門サイトもあったりします。

新書ですが、かなり内容が濃く、スペインに旅に行く人には、ぜひ読破しておくことをお勧めしたいですね(という私は、まだ一度も行ったことがないのだけれど)。グルメや観光名所ばかりの観光案内より、よっぽどスペインを知ることが出来ると思います。

そうこうしているうちに、自分も巡礼の旅に出たいという気持ちがまた湧いてきました。スペインは無理としても、秩父や会津の遍路道を歩いてみるのもいいかも。今更、それで自分が少しは変われるなどとはつゆほども期待しないけど(笑)。

「スペイン巡礼史-地の果ての聖地を辿る」
講談社現代新書 関哲行 著 
740円
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テーマ : レトロを巡る旅
ジャンル : 旅行

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コメントありがとうございます

著者の先生からコメントをいただけるなんて、思っていませんでした。もうびっくり。あまり真剣に読んでいないのがばれちゃうかな、と冷や汗かきつつ。。。
旅というのが何かを追い求めて歩き続けることであるなら、巡礼とは、神あるいは救済を求めての究極の旅なのでしょう。自分もいつか、そういう旅をしてみたいという漠然とした憧れはありましたが、それを具体的な「形」として示してくれた、自分にとって貴重な一冊でした。これからも大切にしたいと思います。

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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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