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帝都東京-隠された地下網の秘密

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 地下鉄の車内で、窓の外のトンネルにじっと見入って、何やらノートに片っ端からメモっているおじさん。傍から見たら、ちょっと「行っちゃってる」ように見えたかも。カンボジアPKOや湾岸戦争の突撃取材をしてきた元朝日新聞外報部記者、記者を辞めて始めたのは、国際情勢の分析とはかけ離れた(ように見える)地下鉄の取材でした。意外といえば意外ですが、地下鉄は国家機密と深く関っていたという、歴史の裏をあぶり出してくれます。

 彼が真っ暗な窓の向こうに見ていたのは、地下鉄のトンネルの構造です。一般的に、戦前に開通した地下鉄は銀座線だけで、丸の内線以後は戦後に構築されたと言われていますが、これがとんでもない虚偽だとわかります。彼は、その虚偽を暴くべく、トンネルを凝視していたのです。東西線や日比谷線には、どう見ても、銀座線と同時代か、もしくはそれより古いと思えるようなトンネルが残されていますね。いくら軍部が歴史を隠蔽しても、トンネルは嘘をつきません。数年にもわたる取材を続けた根気には頭が下がる思い(これで名を売って食っていくんだ、という意地みたいなものもあったのかもしれないけど)。

 結論はというと、大東亜戦争中、いや戦争に突入する前から、国家は首都防衛のため、東京中に秘密の地下ネットワークをはりめぐらすことを計画し、実行していました。第一次大戦以後、空軍力が急速に進化し、空の脅威が倍増したためです。それは単なる防空壕ではなく、軍部の指揮統制機能を地下で遂行できるような、壮大なものでした。しかし、機密中の機密ですから、「地下防衛施設建設予算」などと大っぴらに予算申請するわけにはいきません。それで地下鉄や下水道が利用されました。表向き、地下鉄を敷く形で、実は地下トンネルをつくり続けていたのです。それらは、国民の知らないところで、政府要人の移動などに使われていて、一部のトンネルには、実際に政府専用の地下鉄が敷かれていたことも明らかにされています。

 地下鉄丸の内線、日比谷線、東西線などは、戦前からあったトンネルをかなり再利用しています。首都高速の環状線と新宿線が分岐し、魔の急カーブと言われる三宅坂ジャンクションは、幻の地下鉄新宿線用に作られていた戦前のトンネルを再利用したものだったんですね。まだ10年くらいしか経っていない南北線の溜池山王駅だって、戦前からありました。何しろ国会議事堂という国家機能の中枢部です。図面でそれを証明されると、もう納得せざるを得ません。地下鉄大江戸線にいたっては、驚きの連続。確かに、なぜあのような変な路線になったか、いったい誰が乗るのか、なぜ広軌なのか、不自然に小さい車体は何を意味するのか、利用する誰もが不思議に思っていたことです。地下鉄の不自然な急カーブは、交差点に沿って曲がる、既存の地下埋設物を避けるといった理由に加え、すでに出来上がっていた地下トンネルに接続する、という途方もない要素があったなんて。

 筆者によれば、これらはすべて、戦後処理の一環としての「地下処理」なのだそうです。多くの地下空間は、地下駐車場に転用されましたが(日比谷公園や首都高速の地下駐車場などが一例)、今でも軍が建設した無数のトンネルが処理しきれずに眠っています。10数年前、御徒町でおきた陥没事故も、表向きは新幹線工事を請け負ったゼネコンのせいにされましたが、トンネルが原因でした。政府が建設し、民間にプレゼント:譲渡された線を「P線」というらしいですが、大江戸線などは採算を度外視したP線だったことは疑いの余地がありません。

 そういえば、都庁の新宿移転の際、有楽町と新宿をつなぐ弾丸道路の建設が提案されたことがあります。結局実現しませんでしたが、本当はそんなものはとっくに建設済みなのかもしれません。私たちが何も知らされていないだけで。
 もうひとつ、10年くらい前、地下鉄日比谷線の中目黒駅でおきた痛ましい事件。車両が脱線して壁に衝突し、ボクシングに熱中する優秀な高校生の命が奪われました。現場は、車輪が悲鳴を上げながら上り下りする急カーブです。この不自然な急カープも、もしかしたら。。。。とつい考えてしまいます(筆者は、日比谷線のトンネルの古さを強調しています)。もし本当にそうだとしたら、大事な息子を失った親御さんは、どこに怒りの矛先をぶつけたらよいのでしょう。

 最後に、元新聞記者なのだから、もう少し読者がわかりやすい文体で書いてほしかったです。地下鉄の立体構造を感覚的にわかりやすく表現するのは難しいと思うけど(3Dによる模式図があるとよかった)。東京に通勤している人間にも読みづらい。地下鉄のない都市に住んでいる読者もいるのですから。。。。。
続編もあるようですが、わたし的にはもうおなかいっぱい、かな。

著者 秋庭 俊
新潮文庫 (ISBN:4-10-126351-5)

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古民家での晴耕雨読な暮らしに憧れる軟弱な熊谷都民。

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